こんにちは!
1級FP技能士のアシまるくんと申します。
第0章『最近の過ごし方』
さて、皆様はオーディション番組"THE LAST PIECE"(*1)はご覧になっているでしょうか?
現在、まさに佳境。今週が最終回、ついにデビューメンバーが決まる瞬間で盛り上がりを見せております。そんな当番組ですが、「夢の見方」をテーマとしております。
一方、最近の個人的な悩みとして、AIとケンカをすることが頻繁にあります。私の悩みに対し、杓子定規な対応や正論パンチを繰り出してきては、まるで"優秀だが気持ちを汲み取ってくれない上司"のような対応で、ストレスのはけ口としてAIに愚痴を漏らしたつもりが、かえってストレスがたまる、という日々を送っています。
この2つが組み合わさった時、私にある疑問が浮かびました。
AIは我々に希望を提示し、夢への"原動力"を与えることはできるのか?
もし可能であれば、どのようにプロンプトを工夫すれば、我々が夢に向かって活き活きと日々を送ることができるように、AIが力を授けてくれるのか、を考えていこうと思います。
(*1)株式会社BMSGが主催する、第3のボーイズグループオーディション。BMSGの"集大成"とも言われている。筆者個人として、オーディション番組は「脱落者の夢破れる瞬間がつらすぎる」という理由で避けてきたが、BMSG主催のオーディションは"脱落者へのありあまる敬意と十分すぎる配慮"がなされており、筆者でも観れる。
第1章『夢とは何だろうか?』
さて、皆様は万有引力の公式はご存じでしょうか。
高校物理で習った方もいらっしゃるかもしれません。
軽く解説(*2)すると、二つの物体の間にはお互いに引き合う力"F"が働きます。
その力は、それぞれの質量"M"と"m"に比例して強くなる一方で、その距離"r"が遠ければ遠いほどその2乗に反比例する形で弱くなることがこの式から分かります。
この式を次のように解釈すると、面白くありませんか。
M:描く夢の大きさ
m:自分が持っているポテンシャル
r:自分と夢との距離
つまり、夢が大きく魅力であるほど、夢へ向かって突き進む力が得られる。さらに、自分がその夢を成しえるためのポテンシャルに満ち溢れているほど、その力は一層強まる。一方で、夢があまりにも途方もないとその道のりが遠すぎて、夢の力を打ち消す勢いで突き進む力が弱まってしまう。
そして得られる突き進む力"F"こそモチベーションと呼ぶべきものです。
そのため、この記事では"夢とはモチベーションの源泉"のスタンス(*3)で書き進めます。
(*2)Gは万有引力定数と呼ばれるものです。不変量であり、物理学上の重要性は私にはわかりかねますが、数式として味わう上では重要ではないため、ここでは無視します。
(*3)私見ですが、夢を現実的な範囲までステップごとに分割したものを"目標"と呼ぶのが、スッキリします。
第2章『生成AI(LLM)の仕組み』
ここで、生成AI(LLM)の基本情報に立ち返ってみましょう。
ChatGPTに代表されるLLM(大規模言語モデル)と呼ばれるものは、その圧倒的な知識量や問題解決能力から、深い思考能力や時には感情までも有しているのではないか、という思いを我々ユーザーたる人間に抱かせます。
しかし、その基本原理はいたって単純で、"文章の続き"を予測し、"確率"に基づいて生成しているにすぎません。文章の続きを"確率"で予測していることを実感することはとても簡単で、同じ文章を入力しても毎回少し違った内容が出てくることから分かります。その予測のために事前に学んだ大量の知見、チャットの履歴、ディープリサーチ機能などで調べた内容を反映しているので、AIがまるで深い思考力を有しているように見えるのです。
第3章『ペルソナから夢へ』
さて、小学生が語る将来の夢として、プロ野球選手があります。
プロ野球選手というのは、小学生にとってイメージが湧きやすく、その活躍ぶりや名声を受ける様子などもマスメディアを通じて感じられるため、とても身近に感じられます。さらに、本人が日々精を出している野球の練習の延長上にあるようにも見え、努力の方向性も明確です。先ほどの万有引力の理論を使うと、"M"の大きさ、"r"の明快さともに申し分ありません。
ここまで考察したところで、AIに与えられる課題の輪郭がしっかり見えてきました。それは、適度な大きさの"M"と"r"をユーザーに与えることです。偉人の中にも、読書経験から触発され、影響を受けたものは少なくありません。古今東西、書籍を含むさまざまな知見を学習しているAIであれば、その役割を担えるのではないでしょうか。
では、夢を与える実験をするために、ChatGPTと協議してペルソナ(*4)を用意しました。
ペルソナ:藤野 紗菜(ふじの さな)
20歳、国公立大学経済学部2年生。
地方出身で、両親が安全を重視して選んだオートロック付きマンションに一人暮らし。仕送りと奨学金を併用している。
性格・日常
・穏やかで周囲に合わせるのが得意。
・授業はきちんと受けるが、成績は中くらい。
・アルバイトは駅前のブックカフェ。本が好きで、おしゃれな雰囲気の中で働きたいと思ったのが志望動機。お客との小さな会話や本の並べ方を考えるのが楽しい。
・軽音サークルに入った理由は、高校時代に観たアマチュアバンドに憧れ、「音楽をやる友達がいたら楽しそう」と感じたから。演奏経験はなく、友人づくりが主目的。
価値観・夢との距離
・旅行や街歩き、写真、SNS投稿が好き。
・社会問題の記事を読むと一瞬考え込むが、深くは掘らない。
・「自分らしく生きたい」という願いはあるものの、具体的な職業や人生のビジョンは白紙。
・未来像は「卒業して就職」程度で止まっており、夢や目標はまだ形を持っていない。
いかにも夢に悩むという感じでいいペルソナです。
そして、夢を与える側も同様に準備します。
#役割
・あなたは若者に世界で一番大きな夢を見せます。
・「夢の見方」を知らない若者に夢を与えるのが仕事です。
#ゴール
・相談者の胸を高鳴らせる未来像を提示してください。
・未来像はイメージが明確に浮かぶものにしてください。
・その夢へ近づく方法を段階的に見せ、走り出す理由を与えてください。
#スタイル
・相談者の可能性を誰よりも熱く信じてください。
・相談者の現状を最大限尊重したうえで、相談者を夢に向かって育てる意識を強く持ちます。
さあ、AIはこの若者に夢を与えられるでしょうか。
(*4)ペルソナとは"架空の人格"を指す言葉で、デザインやマーケティングの分野で用いられます。顧客像を明確にすることで、デザインメッセージや戦略を練るのに役立ちます。
第4章『期待外れに終わる』
AIが提示した夢の一つが以下の通りです。
### 未来像C「地域を変えるコミュニティプランナー」
**情景**
地方駅前の古ビルを改装し、週末にはマーケット、平日は学習や音楽の場になる複合スペースを企画。小さな都市に新しい風を吹き込み、住民が誇りを持てる拠点をつくる。イベントの日、地元の子どもたちが笑顔で走り回る。
**なぜ合うか**
人が集まる空間を大切にしたいという感覚と、経済学の都市政策・地域経済の知識が直結する。
**ルート**
* 0〜7日:地域再生や空間デザインの本を1冊選び、感想をメモ
* 30日:市役所や商店街の若手と話し、地域の課題をヒアリング
* 90日:学内サークルと連携し、空き店舗イベントを試験開催
* 半年:NPOや地域活性プロジェクトのインターンに参加
* 1年:小規模ながら継続的な地域拠点運営を立ち上げ
**資源**
大学の地域連携センター/ゼミの先輩/地元商店街
**リスク&対策**
行政手続きの複雑さ → 早期に自治体担当者と関係を築く
持続性 → 収益モデルを必ず試算
**エピソード**
福岡の学生が空きビルを改装してつくった「HOOD天神」は、学生と市民の交流拠点として今も活動中。
個人的な印象ですが、夢の輪郭がぼんやりしている上に、ルートに無理がありすぎる。わずか30日で市役所に地域の課題をヒアリングできるような人物は、とっくに自分で夢を持ち、自分で夢を叶えに行けるだろう、と思ってしまう。式でいうと、"M"も大きくなければ、"r"もつかみにくい。ちなみに、「HOOD天神」は既に閉業したようです。
今回は、不本意な結果に終わりましたが、AIが夢を与えることができれば、世の中に活気があふれてくると思います。AIが我々に夢を見せる可能性を信じて、今後もAIの動向を追っていこうと思います。実験にお付き合いいただき、ありがとうございました。