CDLE埼玉は2024年12月21日(土)に、測量・空間情報を研究している芝浦工業大学工学部・土木工学課程のジオインフォマティクス研究室(中川研)と連携して、「CDLE埼玉AIアカデミー」を開講しました!このイベントは、CDLE埼玉のメンバーが大学に出向き、AIを専攻していない学生に対して、AIの基礎や学習方法、現場でのAI活用事例等を紹介する出張授業です。

今回は「CDLE埼玉AIアカデミー」の第一弾であったため、まずはAIに関する学生のニーズや反応等を把握することを目的としたことから、外部への大々的な広報はせずに、CDLE埼玉と中川研に関係のある方を中心としたスモールスタートでの開催を考えていました。しかし、蓋を開けてみると、、、

帰省する学生が増える年末で、土曜日、かつ出席しても単位が貰えない完全な自主参加という授業にも関わらず、約40名の学生にご参加頂きました!これからの未来を生きる学生の皆さんにとって、AIがいかに重要な関心事であるかがわかりますね。これに教員が数名とCDLE埼玉+JDLAからの約20名の参加者を含むと、なんと60名以上の参加があり、全然スモールではない、大規模なイベントになりました!

■イベント開催の背景・目的
大学生や就活生の中には、「AIを勉強したいけど、どこから始めればいいか分からない!」「AIを使ったキャリアはプログラマーやエンジニアに限定されるものなのか?」といった疑問を抱く人も多いはずです。また、「今後、AIは自分の専門分野にどのように関係してくるのか?」を知りたい人もいるでしょう。そんな悩みや疑問を解決するために、日本最大級のAIコミュニティである「CDLE(シードル) 」が特別イベントを開催しました!

このイベントは、多様な業界でAIを活用している知見が豊富なCDLE埼玉のプロフェッショナルたちが集い、これまでどのようにAIを学んできたのかという経験談や、現在の仕事でどのようにAIを活用しているのかといった業界事例を浅く広く紹介した後に、学生さんたちと近い距離でAIをテーマとした意見交換を行える場を提供するものです。

■イベント概要
・タイトル:AIキャリアスタート!
・概要:AIキャリアに興味ある大学生のためのイベント
・日時:2024/12/21(土)14:00-16:00(受付開始13:30)
・場所:芝浦工業大学・大宮キャンパス
・対象者:AIに興味がある大学生・教員

■連携先
芝浦工業大学 工学部 土木工学課程 中川 雅史 研究室 = ジオインフォマティクス研究室
http://www.db.shibaura-it.ac.jp/~nakagawa/ 


■カリキュラム
(総合司会:
@しゅーもん_core.member
1. オープニング
・・・芝浦工大・中川教授+CDLE埼玉・@Hiro 
2. キーノートスピーチ
    ・一般社団法人日本ディープラーニング協会    岡田隆太朗    専務理事
    ・就活やキャリアの選択を語る:「今、AIを選ぶことがなぜ重要なのか」
3. AIの学習方法    
    (1) AIが変える私たちの未来・・・@oga(おが) / 小笠原 清     
        • AIやテクノロジーがどのように生活を変えていくのか       
        • 明るい未来を創っていくのは私たち一人ひとりの行動    等     
    (2) エンジニアのキャリアの選択肢・・・@Yuki Sugiyama
        • データサイエンティスト、機械学習エンジニア、AI研究者       
        • 専門性と業界知識の組み合わせの重要性    等     
    (3) 効率的な学習方法・・・@なか-chan (中仙道 太郎)      
        • 必須スキル: 数学(線形代数、確率統計、微積分)、プログラミング       
        • 初心者向けリソースの紹介:無料オンラインコース(Coursera)、入門書       
        • 実践力をつける方法: ハンズオンやコンペ(Kaggle、Signate)等
4. AIの業界応用事例の紹介     
    (1) 小売業
: コンビニの無人店舗によるAIの活用事例・・・@レイモンド   
    (2) サービス業
: コールセンターでのAIの活用事例・・・@やち(木村)  
    (3) IT開発
: IT開発現場におけるAIの活用とAIエージェントの導入・・・@Yano_core.member
    (4) 物流業
: 物流業界でのAIの活用事例・・・引網康暁
5. 参加型ディスカッション     
    • 学生の目標や関心分野を共有し、学んだ内容をどう活かすか意見交換     
    • 「AIとキャリア」等のテーマで議論    等
            @JACKAL @えんちゃん @小野寺     
6. クロージング・・・芝浦工大・中川教授+CDLE埼玉・@Hiro  

■開催状況
まず、今回の総合司会であるしゅーもんさんのモデレートでAIアカデミーがスタート!
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1. オープニング
開会に先立ち、芝浦工大の中川教授からは、今回CDLE埼玉と連携してAIアカデミーの開催に至った経緯やAIに関する大学と企業との連携等などについて説明があり、
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CDLE埼玉・運営代表のHiroからは、G検定やE資格の保有者だけが参加できるAIコミュニティであるCDLEについての説明と、その地域グループとしてのCDLE埼玉の目的やこれまでの活動内容等について紹介がありました。
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2. キーノートスピーチ
JDLAの岡田専務理事から「今、AIを選ぶことがなぜ重要なのか」をテーマとしたキーノートスピーチをして頂きました。岡田専務理事は、ディープラーニング技術を日本の産業競争力につなげていこうという意図のもと設立された一般社団法人日本ディープラーニング協会の立場以外にも、内閣府のAI戦略会議の「AI制度研究会」のメンバーであり、かつ、国内外の起業家・投資家等が一堂に会し、直接交渉による投資・協業先・人材等の獲得や、各分野の最新動向の把握と多様な人材の交流を契機とした新ビジネス創出を促進する、国際スタートアップ・カンファレンスである「IVS」にも関わっている等、日本のAI業界の中心にいらっしゃる方です。

キーノートスピーチでは、ビジネスへのAIの実装は、まさにこれから本格的に始まろうとしているタイミングであり、AIと人が社会課題の解決に向けてコラボレーションしながら、より良い未来を創っていくという”パラダイムシフトのタイミング”であること。その意味では、「これから社会に出る学生には、いま途轍もなく大きなチャンスが広がっている」というポジティブなメッセージにより、会場全体がヒートアップしました!4.JPG 8.62 MB
学生の皆さんの目つきが真剣に。もちろん、寝ている学生は一人もいません(笑)
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3. AIの学習方法
AIの学習方法のトップバッターは oga(おが)/ 小笠原 清さん。テーマはAIが変える私たちの未来。AIが社会を大きく変えていく中、人間が持っている強み(AIにはない)であるシンボル(記号)と実世界(地面に足がついた経験)が結びついていることを認識できるという”シンボルグラウンディング問題”を例に挙げ、AIを体系的に学び、AIの知識をもとに海外留学等を含めた挑戦がより大切になっていくだろう、という見通しが示されました。
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次にYuki Sugiyamaさんがエンジニアのキャリアの選択肢を紹介。AIを学ぶ上で、統計検定やデータ分析実務スキル検定、AWSやJDLA関係などの多くの資格があること、AIを使ったシステムやサービスを作りたいのであれば「IT系のエンジニア」や「DX人材」という選択肢があるといった紹介によって、学生のみなさんがキャリアを選択するときのイメージが具体的になったのではないかと思います。
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そして、なか-chan (中仙道 太郎)さんからはAIの効率的な学習方法が紹介。まず手を動かしてみること、そしてChatGPTやGoogleColab、VisualStudio Codeなどの具体的な説明の後に、「競争駆動開発」という考え方であるコンペやハッカソンなどに参加してみること等のアドバイスがありました。そして2025年初に始まるコンペに一緒に参加しましょう!という学生の皆さんへの提案もありました。7.JPG 8.2 MB
4. AIの業界応用事例の紹介     
AIの業界応用事例として、4つの業界からの事例の紹介がありました。

まず小売業からは、レイモンドさんご自身が担当したこともある、コンビニの無人店舗によるAIの活用事例を紹介頂きました。AIカメラや重量センサー等によって無人コンビニを実現していくことで、レジ打ちというタスクを無くしていくとともに、コンビニ業界が抱える本当の問題であるオーナーの高齢化等への対応にはAIの活用が欠かせないという実態を調査結果のデータ等を踏まえてご説明いただきました。8.JPG 7.88 MB
次に、サービス業におけるAIの活用事例として、やち(木村)さんからはコールセンターでの事例の紹介です。AIが過去の問い合わせ事例、ナレッジ、Q&A情報をチェックして、回答案まで作成し、担当者は回答の前に内容確認を行うだけで対応が終了という、急速にAIの活用が進んでいるコールセンターの業界の状況をご紹介いただきました。
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長年、IT開発に携わっているYanoさんからは、IT開発業界におけるAIとの向き合い方等について紹介頂きました。デジタルリテラシーとは「デジタル技術を”自分らしく”使いこなせる力」であり、これからは”AIを作る時代”から”AIを使う時代”へと変化だろうという見通しが示された上で、そう遠くない将来において、AIエージェント等の導入によって、より人間に近いドラえもんや鉄腕アトムのような”強いAI”の出現があり得る、という夢のある楽しいお話がありました。
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そして、業界事例の最後には、引網康暁さんから物流業界でのAIの活用事例をご紹介頂きました。物流業界と大学とのギャップとして、AIに代表される科学的手法を活用して課題解決を担える高度物流人材が不足している点が挙げられ、産学連携の重要性が指摘されました。とはいえ、物流の現場ではすでにAIの活用が進み、倉庫ロボットや商品配置の最適化、出荷検品への画像認識(AI-OCR)の適用といった具体的な事例を紹介頂きました。
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5. 参加型ディスカッション
イベントの締めは、参加型ディスカッションです。モデレーターはJACKALさん、えんちゃん、midcentury(小野寺)さんです。参加した学生を複数のグループに分けて、各グループにはCDLE埼玉のメンバーも加わり、これまでのプレゼン等を踏まえたAIに関する学生の目標や関心分野を共有し、今回学んだ内容をどう活かすかについて意見交換を行いました。どのグループでも非常に活発な議論が交わされました!
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■アンケートによる学生からの意見
終了後に実施したアンケートでは高評価を頂きました!今回のAIアカデミーの内容に「満足した」と「非常に満足した」の回答を合計すると95%になり、またCDLE埼玉からのAI関係の情報提供によって、「今後のキャリアの参考になった」と「非常に参考になった」を併せると100%でした!今回のイベントに参加した学生の皆さんが、今後のキャリアを考える際に、”AI”という選択肢が思い浮かぶような切っ掛けが提供できたのであれば、本当に嬉しいことです。AIが好きなメンバーが集まって、世代を超えた交流ができるのは楽しいです!
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(イベント全体の感想)
・非常に勉強になりました!
・盛り上がって良かったです。
・AIの可能性が高いことを知れました。
・AIに関しての概要や社会実装の現状について学ぶことができました。ありがとうございました。
・AIの概略を知ることができてよかった。
・漠然としていたAIの像が少し鮮明になった気がしました。
・大学の授業だけでは得られない情報や学びを得られてとても有意義な時間になりました!
・AIのことについてあまり知識がありませんでしたが知りたい!と思って来ました。知ることが出来て満足しました。ありがとうございました。
・最高でした!
・AIの活用について参考になった。
・非常に面白く、AIについて良く知ることができて有意義だった。
・AIについての事前知識が余りなくても楽しく聞くことができました。
・まだ、様々な業界の話を聞いて意外なところでの活用法などがわかり面白かったです。
・画像認識やセンシングなどAIそのものについてではなく、それらを応用する事例についての話を聞く機会はあまりなかったため、大変参考になりました。
・ネットの記事などでみたことのあった内容を実際に働いている方々から現場の声として聞くことができて非常にためになりました。
・とても良い🙆です。行動にうつします!
・とても興味深かったです。
・AIについて知れて面白かったです。IT系に興味がありますが、どの分野について学びを深めようか迷っていたので、それを考えるいいきっかけになりました。
・AIについての多分野での活用方法や勉強の仕方などを知る事ができてとても参考になりました。
・参考になりました。
・AIについて実際の事例などを聞けて良い機会だと思いました。


■今後の取り組み
今回のイベントは、芝浦工大の中川研究室とJDLA、そしてCDLE埼玉の皆さんのご協力のおかげで、「CDLE埼玉AIアカデミー」の第一弾は成功裏に終わりました!今後の取り組みを検討するにあたって、今回のアンケート調査票の「今後扱って欲しい内容やテーマ」に関する回答が参考になるかもしれません。この設問では、”AI技術に関するより高度な内容(原理や構造など)を知りたい”という意見や、”人間のような汎用的な知能を持つAIを指すAGI(汎用人工知能)について知りたい”といった意見が挙げられていました。今回はAIについて「広く浅く知る」ことを狙いとしていましたので、次回以降はもう少しAIの技術の深掘りをしてもいいかもしれません。

他にもAI技術には、機械学習を中心とするG検定やディープラーニングを実装するE資格といったAI資格取得を目的とした学生へのサポートや、自然言語だけでなく音声や動画等のマルチな発展を遂げている生成AIの使い方や、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の体験RAGやAIエージェントの理解ノーコードツールの紹介等、まだまだ面白い分野があります。今後も理系や文系を問わず、小学校、中学校、高校や大学を問わず、「CDLE埼玉AIアカデミー」を開催していく予定です。CDLE埼玉とのコラボレーションを希望される自治体や学校関係者の方がいれば、CDLEのお問い合わせからご連絡ください!