🎥 メディアミックス戦略とは? 🎼
メディアミックス戦略というのは、ある作品や商品をたくさんのメディア(例えば、アニメ、マンガ、小説、ゲーム、映画、音楽など)で展開して、より多くの人に知ってもらうための方法になります。
メディアミックス戦略は、ネット文化が発達し消費者の好みが多様化する現代において特に有効と言えると思います。
インターネットの普及により、消費者は自分の趣味に合ったコンテンツを選びやすくなり、単一のメディアで広範な層にアプローチするのは困難です。メディアミックスを活用することで、異なるメディアを通じて多様な層に対応し、ネット文化における消費者の多様なニーズに応えることができるでしょう。これにより、ブランドやコンテンツへの自然な関与と情報の拡散が促進されることが考えられます。
🎥 生成AIを利用したメディアミックス戦略 🎼
生成AIの進化により、かつては複数の才能が必要とされたメディアミックス戦略が、1人のクリエイターでも実現可能な時代になっています。これにより、クリエイターが異なるメディアのコンテンツを自ら生成し、統一されたテーマで展開できるようになりました。
従来、小説の執筆、キャラクターデザイン、漫画制作、音楽作成、動画編集といった作業は、それぞれの分野に特化したスキルが求められていました。しかし、生成AIがこれらの作業を支援することで、クリエイターは専門知識がなくても高品質なコンテンツを作り出せるようになっています。例えば、AIが作曲を支援することで、音楽制作の知識がなくても楽曲を制作し、作品に組み込むことが可能です。また、AIは作業の効率を大幅に向上させるため、クリエイターは短期間で多くのコンテンツを生成し、それを複数のメディアに展開することができます。
この結果、個人が限られた予算やリソースであっても、広範囲にわたるメディアミックス戦略を実行できるようになり、クリエイティブの可能性が大きく広がっています。生成AIを活用することで、1人でも多様なメディアで一貫した作品世界を展開することが現実的なものとなっているのです。
🎥 本当に個人レベルで作成できるのか? 🎼
私の本職はシステムエンジニアであり、能力のほとんどがプログラミング的な思考に特化されています。
そういう意味でクリエイティブな分野は…好きではあるのですが、全くの素人です。素人なので趣味の範疇でのコンテンツ作成です。プロではなく知名度もないので、大人気コンテンツになるのも難しいですが…その素人でも「これだけのコンテンツが作れるんだ」という参考にしていただけたらと思います。
私が作成したコンテンツは、もともと、メディアミックスを意識して作成されたものではありません。新しく発表されたAIの技術検証をする場合、何かしら題材となるキャラクターの絵やテーマ等があると便利です。
ですが…そこに版権もののキャラクターを使うのは怖いってがありました。
そこで、たまたまAIに小説を書かせる試み行っており、登場人物のキャラクターも立っていた為、丁度良い!というようにコンテンツを使っていたら、それなりに多岐にわたるメディアのコンテンツになっていた…という経緯ですね!
このように、意図はしていなかったのですが、実際に行ってみた感想として、個人で複数のメディアのコンテンツを作成することは、非常に高いクオリティを望まなければ…可能になったと言えます!
生成AIはプロの仕事で使うことが、最も能力が発揮できるとは思います。しかし、商業的にはニーズが狭く、特定の層にしか刺さらないコンテンツなどはプロの手からは生み出されない可能性が高いです。そういったニッチな分野においては、個人でコンテンツを作成出来る…というのは新たな可能性であると感じます。
🎥 キャラクターデザインは非常に重要 🎼
この章を語るために、私が作成した「Noastaria 〜星の花の夢〜」というコンテンツを例にしたいと思います。
まず、このコンテンツが生まれるきっかけはGPT-4oの能力を試すために書かせたAI小説になります。
小説というものは文字だけでは中々読まれるものではないと思っています。そのため、綺麗な挿絵が必要になります。生成AIでいくらでも綺麗な絵がかける時代になっていますので、使わない手はないでしょう。しかし、生成AIで描く絵は毎回異なる絵が作成されてしまうという問題があります。小説の挿絵を描く場合、キャラクターの区別がつかない…というのでは、読み手が混乱してしまうでしょう。
そのためキャラクターの同一性を保つための工夫として、あえて特徴ある見た目を与える事があります。
Noastariaではこんな感じで考えてみました。
星城乃亜・・・黒髪長髪で星の形をした髪飾り
桜庭舞 ・・・赤毛ショートボブで派手な服装
黒澤颯人・・・筋肉質でメガネにTシャツ
藍川玲 ・・・黒髪長髪メガネにブレザー
蒼井紘一・・・茶髪短髪でイケメンだが軽薄そう
白石悠馬・・・前髪が長く小太り暗い感じで冴えない
このように、特徴をつけていくと、それさえ含まれていれば同一キャラクターと認識してもらえるため、キャラクターの書き分けが非常に楽になります。
さらに、見た目に特徴があれば、他のメディアへの展開も非常に楽になります。
つまり、この特徴付けが絵を描くための助けになると共に、そのキャラクター性をメディアミックスの中心に据えることで、コンテンツの一貫性に非常に寄与することとなるのです。
このことより、生成AIでメディアミックスを行うには「キャラクターデザインは非常に重要」ということが理解できたかと思います。
なお、同じキャラクターを描かせるために、キャラクターの見た目をJSON形式として持っておくと非常に便利ですので、下記記事を参考にぜひ試してみてください。
🎥 メディアミックスにおけるイラストの難しさ 🎼
前章で6人のキャラクターの特徴を考えました。このキャラクターたちをアニメや漫画のような絵柄でDALL-E3 という画像生成AIに描いてもらおうと考えています。
…さて、ここで問題です!
「最も描きにくかったキャラクターは誰でしょう?」
生成AIにはプロンプトで指示するので、なんとなく特徴が多い方が難しく感じますよね?
でも、実はそうではありません。
画像生成AIが最も描きにくかったのは誰かと言うと…
「白石悠馬が最も難しいです!!」
DALL-E3でアニメタッチの絵を描かせる場合、基本的に美男美女しか描いてくれません!
白石悠馬は「小太りで冴えない奴」です。
「小太り」とか「冴えない」とかプロンプトで指示しても…
…こんな感じで非常にスリムでイケメンっぽい感じになってしまいます。
プロンプトを工夫し、少しでも太らせるように指示してみると…
「小太りってレベルじゃないキャラクターが描かれました!」
…私が欲しかった絵は微妙に冴えない中途半端な感じなのですが…全然描いてくれないのでなので諦めました。
その結果、蒼井紘一と区別がつかなくなるという問題が発生しました。悩ましいです。
このように生成AIのモデルにより描きやすいキャラクターと描きにくいキャラクターが存在します。そのキャラクターがオリジナリティに溢れるほど、学習データが少ないのか、同じキャラクターを描かせるのに苦労することになります。
DreamboothやLoLAという技術が出て来ているものの、数百ページに及ぶ漫画をそれらで生成したという話もあまり聞かないので…同一キャラクターの再現はまだまだ難しいのではないかと思います。
しばらくは手数を増やしたり、手作業で修正したりなど、創意工夫で乗り切るしかないです。
この辺りを適切に解決できる手法やサービスが欲しくなりますね!
🎥 やはり動画のインパクトは凄い 🎼
メディアミックスを行う場合、生成AIとして最もホットなのは動画生成だと思います。
「動画って言っても数秒しか出来ないんでしょ?」
…って思いますよね?その通りです!
ですが、短い動画を切ったり繋げたり逆再生したりして長い動画を作る事が可能になります。やってみると分かりますが、絵が少し動くだけで印象が全く変わって来ます!
たとえば、こんな感じです!
【例】「Noastaria 〜星の花の夢〜」の予告動画
この動画はLuma Dream Machineというサービスの無料枠で作成しています。まだ慣れておらず、実験段階なので、ほぼ動いていない動画もありますねw
最新の動画生成AIで最も優れているのは…
「Runway Gen-3」
…になります!
「じゃあ、それ、使ってみよう!」
となりますが…ちょっと待ってください!!
最大の問題があります…
「サービス利用料が高けぇ!!」
…って、ことです!
Runway Gen-3を最大限活用するために、使い放題を契約したとします。
月額いくらになると思いますか?
「95ドル!!」
なんと!1万円を超えます!
まだまだ個人が気軽には使えませんねぇ。。
🎥 絶対にやった方がいい!イメージアルバム! 🎼
画像生成を行う場合、キャラクターとの同一性がないと非常に違和感があります。しかし、音楽はどうでしょう?
「それっぽく作られていれば、全く違和感がない!」
…んですよね!
画像生成AIの誕生で絵を描く人の仕事が奪われるのでは?なんて話がありますが…私としては…正直、音楽業界の方が圧倒的に危機的な状況だと感じます。
低予算の映画のBGMなんかはもう生成AIに作らせた方が絶対楽です!ゲームミュージックなんかもそうですね!
まず、音楽的な才能が全くないと思われる私が作曲した曲を聞いてみて下さい!それでも、このレベルが作曲出来てしまいます!
【Noastariaイメージアルバム-SideA】
https://youtu.be/qSQVjIYCrbI
歌詞カードも無料のツールでこんなに綺麗に作れます!
https://note.com/api/v2/attachments/download/9efa8437d5c4eaf380ff841506a84009
イメージアルバムの作り方や例はこちらの記事を参考にしてみて下さい!
【SunoAIの使い方:星間の約束イメージアルバム】
【iTunesへの登録方法:Noastariaイメージアルバム】
🎥 漫画は長いものは難しい 🎼
漫画は小説よりキャラクターの同一性が求められるので非常に難しい分野になります。キャラクターの顔もそうなのですが…最も問題になりやすいのが服の形や色、帽子や背景など、キャラクターとは関係ない部分です。
本格的な漫画を書かせようとすると、クラウドサービスを利用した画像生成AIだけでは上手くいかないので、下記のようなものが適時必要となるかと思います。
【画像編集ツール】
反転させたり、細かいレベルでの角度指定で回転させたりなど。
文字を入れたり、ドットレベルの修正も出来ると有難いです。
あと、背景を透明にする機能は必須ですね!
【img2img/mask機能ありローカル画像生成AI】
体の一部分や小物類の書き直しはローカルの生成AIを利用しましょう!100枚とか大量生成して、良いものを選んでいくスタイルが良いでしょう!
【コマ割りやセリフなどが配置出来るツール】
画像生成AIでは吹き出しを欲しいところに出力するのは非常に難しいです。そのため、そういったツールは別途用意しましょう!あるものを利用するって人であれば、Excelとかでも問題ありません!
クラウドサービスの画像生成AIとWindows標準のペイントだけでも下記のように4コマ漫画ぐらいなら簡単に生成出来ます!
まずは、そのあたりからチャレンジしてはどうでしょうか?
縦読み漫画は生成AIと相性が良いのでオススメです!
下記は失言探偵の漫画の例です!イマイチ人気が無いですが💦
🎥 チャットボットは簡単に実現可能! 🎼
物語の登場人物とお話しできたら楽しいですよね!
このあたりのコンテンツにニーズがあるか分かりませんが、GPTsを利用すれば簡単に実装・公開出来ます!
【例:失言探偵 山本翼】
【例:闇の花 紫苑】
GPTsについては下記の記事を読んでください(少し古いですが…)紫苑ちゃんのプロンプトもありますし、非常に簡単ですので、ぜひ!参考にして試してみて下さい!
こんな感じでキャラクター同士の対談も可能です!
🎥 意外と相性が良い!?学習コンテンツ 🎼
勉強会等で難しいスライドをずっと見せられるのは疲れますよね?そんな時、可愛いイラストが載っているとホッとしませんか?
プレゼン資料にイラストを入れたい!って人は多いと思いますが、かといって版権もののキャラクターを使うのは躊躇してしまいます。そのため、最も多く使われるのは「いらすとや」になります。でも…「また、いらすとやか…」みたいに思われてしまいそうです。
そこで、自前のコンテンツです!
自分で考えたキャラクターなら自由に使えますよね!
下記リンクは星間の約束のゼリエリア及びNoastariaの乃亜を使ったスライドになります!
いかがでしょうか?
なかなか良い感じですよね!
自分が考えたオリジナルのキャラクターを広く世に展開したいなら、「いらすとや」のように、多くのシチュエーションのイラストをフリーで提供するというのも良い手かもしれません。
LINEスタンプなんかもアリかもですね!
🎥 コンテンツのメインとなる物語・小説 🎼
そして、本題となる物語…小説ですね!
私は生成AIに数多くの小説を書かせてきました。そこで悟った事があります。
それは…
「生成AIのみで書かれた小説はつまらない!!」
…と言うことです。何らか人間が関与しなくては面白くなりません。でも、関与するって言ってもいきなり小説のストーリーなんて思いつきませんよね?
真っ白な紙にいきなり絵を描けって言っても何をすれば良いか全く分かりませんが、既に描かれた絵の場合、「ここがおかしい」「こっちの方が好み」などなど好き勝手言いたくなります。つまり…人間は完成されたものに対して色々文句を言いたくなる生き物なのです。ですので、「小説のストーリーなんて思いつかない!」って人は、とりあえずAIに小説を書かせ、不満点や不足点を補うように関わっていくやり方がやりやすいと思います。
そんな感じで、複数のメディアに展開した元となる小説をご紹介します。
【Noastaria 〜星の花の夢〜】
物語のアイデアはGPT-4oに適当なプロンプトを与えて出力した小説です。気に入らない部分は書き直させていますが、ラストのみ私のアイデアが強く反映されています。その物語を私が読み直し「白石悠馬が星城乃亜に強くこだわる理由が薄い」という不満点があったのと「不要な冒険が多い」という物語全体の構成も良くなかったため、Gemini Advancedというトークン数の多いLLMを利用して物語が主軸から外れないようにプロンプトで指示しながら書き上げました。
改めて読み直すと…最初の方は読みづらく退屈で…挫折しそうですね…3話ぐらいから読みやすくはなるかと思います。物語の前半はかなりの部分をAIに任せています。「第10話 忘却と願望の幻想」あたりから、私の趣味や思想が多く入って来ますので、それ以前とそれ以降の書き方の違いを比べてみるのも面白いと思います。
【星間の約束】
Claude2の小説「星間の約束」が評価が高かったため、その基本のストーリーをプロンプトとして与え、トークン数の多いLLM(BARD)を使って英語で自動生成させました。そしてGPT-4で翻訳…というか意訳しました。実際に意訳させてみると、その能力に驚かされました。これを見ると、もう翻訳家とかなして英語の物語が読める時代になったのではないかと思わされました。
自動生成はしたものの、とにかく物語が説明不足すぎて読んでいて辛かったので、それを補完するのにかなりの時間を使った感じです。最初に生成されたストーリーではガラクタから宇宙船を作って、あっさりゼリエリアの星まで辿り着いてしまうという…なんともトンデモ展開でした。
【失言探偵 山本翼】
「失言探偵」という1発ネタ的なタイトルを思いついて描き始めた話ですね。キャラが立っているので同一キャラが非常に書きやすい作品となります。
伏線が回収出来るか?という挑戦でしたが、今時点で言える回答としては「生成AIは伏線ははれるけど、回収は人間が考えなきゃ無理!」という結論を出しています。なぜか?については、私の考えは伏線回収というのは理論ではなく感情に近い部分だからだと考えています。納得感というか…そんな感情を揺さぶる回答をAIが理解出来ないからだと思っています。
🎥 まとめ 🎼
このように生成AIが普及することにより、個人でメディアミックス戦略を行うことが可能な時代になったと言えるのではないでしょうか?
そして、多くのメディアを1人で作成することにより、コンテンツの統一感が生まれるというメリットもあります。
このブログから、メディアミックスを行うためには、まず、キャラクターの特徴をしっかり人間が考える必要があるという事が言えると思います。
本気でメディアミックス戦略を考える場合は、ここがひょっとしたら一番大変なところかもしれません。
このように、個人でメディアミックス展開が出来てしまいますので、皆さんもぜひ!挑戦してみて下さい!