「いいかい、君たち。わからなければ聞けばいい。持っていないなら借りればいい。逆に聞かれたら教えるべきだし、持っているものは与えるべきだ。人間、一人でできることなど高が知れている。技術の世界はみんなで共に創る『共創』が肝心だ」

これは、スティーブジョブズも孫正義も憧れたシャープ伝説のエンジニアである佐々木正氏の言葉です。


2023年2月23日にCDLE AIQuest 2.0という勉強会のイベントとして、岐阜県のタイルの製造業、新興窯業株式会社様への工場見学会が開催されました。

私は運営側として、見学する皆さんを後方から誘導したり、スピーカーを持って付いていったりなど、微力ながら協力させていただきました。

現地での工場見学参加者は40名近くの大人数となり日本ディープラーニング協会にて大型バスを借りるほどの規模となりました。
4BCE5A3F-B049-4CF5-A3A3-7B9EF011D732.jpeg 349.54 KB工場では原材料に触れるよう用意していただきました。
皆、興味津々でした。
D1AE4C6C-5EF9-4ED3-B25B-2F789F015B95.jpeg 334.95 KBAI導入部分も含んだタイルが出来上がるまでの過程を順番に見学し、最終的に出来上がったタイルを叩いての不良品検査の体験も出来ました。
E9AF94AD-AA3F-4B7F-BDAC-9B34978C7913.jpeg 302.96 KB工場見学の後は質疑応答。見学者のかなり踏み込んだ質問にも津田社長、吉村さんが出し惜しみなく回答しています。みな、メモをとったり真剣です。
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ここで、CDLE AIQuest 2.0について、ご存じない方もいらっしゃると思いますので、ご説明いたします

2019〜2021年度に課題解決型AI人材育成プログラム「AI Quest」が経済産業省によって開催されました。(2022年度からマナビDXクエストに変更)

そのAI QuestのCDLE版となる企業視点のAI人材育成プロジェクト「CDLE AIQuest」が2022年にCDLEメンバーの櫻井 敏明さん主導で開催され、大変な盛り上がりとなり終了しました。そして、その次となる勉強会、それが「CDLE AIQuest 2.0」になります。
benkyoukai_kunrenkou.png 92.09 KB今回開催された「CDLE AIQuest 2.0」AI推進企業となる岐阜県のタイルの製造業、新興窯業株式会社(代表取締役 津田社長)に訪問、工場見学を行い、AI導入のその先の成長戦略一緒に考えて提案、得たヒントを自社に持ち帰る…という趣旨の勉強会となります。

新興窯業がある美濃地方は、今から500万年程前は巨大な淡水湖である東海湖の湖底にありました。そこにマグマから形成された花崗岩が風化して流れ込み、その風化花崗岩(藻珪)のアルカリ質が抜けて粘土化したことで、良質の土が採れるようになったそうです。
mizuumi.png 187.96 KBさらに美濃地方には中性の軟水高火力の元となる樹林帯がありました。そこに良質の土が採れるという三拍子揃った事により、窯業が盛んな地域になったという歴史があります。
つまり、新興窯業は古くからの歴史背景のある土地の企業になる訳です。そのような企業がAIを導入という新しいチャレンジを行い、さらに自社の事業をオープンにするというのです。これは簡単に出来ることではないと思います!

koujou_kengaku.png 166.6 KBこれだけ聞くと、新興窯業様は他社の為に自社の事業をオープンにして何の得にもならない事を行う奇特な企業だなぁ…と思ってしまうかもしれません。確かに新興窯業様は太っ腹な企業だとは感じます…ですが…

本当にそれだけでしょうか?


私がCDLEに参加して面白いと感じたのは、そこにある「情報」ではなく、そこに所属する「人」でした。ディープラーニング、AIという旗印の元、あらゆる業界の人が所属し、普段交わらない異業種の人とコミュニケーションがとれる…これが凄く面白いのです。

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これがどういう事かと言うと…CDLEは人材の多様性が高度に進んだコミュニティではないのか?という事なのです。そして、そこに対してオープンにしていく事は新たなるイノベーションを生み出すきっかけになる価値があるのではないだろうか?という事なのです。

冒頭でもご紹介した佐々木正氏の言葉にもこうあります。

多様性のある場があれば、そこで異質の才能がぶつかり合う『共創』によるイノベーションを起こすことができる。」
business_idea_share.png 119.12 KB日本の製造業の問題として櫻井さんがおっしゃったのは「会社内の各部署間での連携がない」事でした。少品種大量生産の時代、分業する事が効率的だったからです。
ですが、今の時代、多品種少量生産が求められます。それを実現するには、各部署の連携を密にしなくてはなりません。その問題に新興窯業様は取り組まれ、成功していると言えると思います。そして、それが改善された後のその先は

「異業種との繋がりがない」

となるのではないかと、私は思うのです。
job_roudousya_young.png 120.87 KB事業をオープンにすれば、マネされて終わりというリスクは当然あります。そこで重要となるのが「知財戦略」です。つまり特許を取って事業を守っていくという事です。実際にタイルの品質チェックのAIの特許を出願しているという話です。そして、それにより新聞に取り上げされて宣伝にもなったという話もあります。
ここまで考えて提案を行える櫻井さんと、それに踏み切れる新興窯業、津田社長は流石だと感じます。

このブログを書いている時点では、提案の発表会の前になります。ですので、どのようなアイデアが出て、それがきっかけで、どのようなイノベーションが生まれるのか、今から楽しみにしております✨
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余談ですが、見学会ですっかりタイルに魅せられたので、帰りのお土産屋でタイルを購入してしまいました。タイル、良いですね!
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