2026年3月5日にOpenAIからAIエージェントツールCodex App(Windows版)がリリースされたので、非開発者でもできそうなビジネスシーンでのユースケースを考えて試してみました。
Codex AppはChatGPTの有料プラン(Plus以上)のユーザーであれば月額料金内・追加料金なしで利用できます(使用量制限あり)。有料プラン契約しているのであれば、ぜひTRYしてみましょう。
Codexの利用方法いろいろ
Codexを使う方法はいくつかあります。
以下のWebページで紹介されていますが、非エンジニアでも使えてローカルファイルに触れる方法としてはアプリをダウンロードするのが一番よさそうに思います。
・アプリをダウンロード →今回紹介の方法
・CLIをインストールする(ターミナルで使う方法。開発者向け)
・VSCodeなどのIDEに拡張機能をインストールする(開発者向け)
・クラウドで使う
https://chatgpt.com/codex
Codex App(Windows版)の特徴
Windows 版 Codex Appは、エージェントが PowerShell で実行される場合はネイティブのWindows サンドボックスをサポートしており、安全性が高いのが特徴です。
詳しくはこちらの記事を参照してください。
Codex App(Windows版)のインストール
Microsoft Storeで探して入れるのが一番手っ取り早いと思います。
もしくは以下のリンクからインストーラをダウンロードして入れることもできます。
App – Codex | OpenAI Developers
Codex Appのユースケースを考えてみる
非開発者でもビジネスシーンで役立ちそうなユースケースを考えてみました。
Codex Appの特徴は何といってもローカルファイルを触れるという点にあります。いちいちChatGPTにコピペしたり、ファイルをアップロードするのが面倒といったシーンに向いています。ここでは多数のテキストファイルを走査して処理する内容を考えてみました。
ユースケース1:書式バラバラのメールから集計表を作る
こんなシチュエーションを考えてみました。
会議の開催日程を決めるため3つほど候補日と時間を参加予定者(社外メンバーも含む)にメールで送付しており、返信が返ってきた。メンバーによって返信フォーマットがバラバラで集計するのが大変。 返信内容は、人により「火曜日ならOKです(日付を指定してない)」とか「(14:00-16:00で案内してたら)この日なら14:00-15:00だけなら参加できます」といった形でバラバラ。
ここでの目標は参加可能日程・時間の集計表を作ることです。
ファイルを用意する
上記のシチュエーションに沿って送信/受信メールのテキストファイルを用意します。
※メールの内容はChatGPTにダミーで作ってもらいました。人名・会社名・メールアドレスは架空のものであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
送信メール(ダミー)
件名: 【日程調整】キックオフ会議の日程候補のご連絡
各位
お世話になっております。
株式会社ネクサス企画の田中です。
下記の通り、キックオフ会議の日程候補をお送りします。
ご都合の良い日時をご返信いただけますと幸いです。
【候補日時】
・4月14日(火)14:00-16:00
・4月16日(木)10:00-12:00
・4月17日(金)15:00-17:00
難しい場合は、参加可能な時間帯のみでも問題ございません。
また、上記以外でご都合の良い日時がありましたらあわせてお知らせください。
お手数ですが、4月8日(水)までにご返信をお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
――――――――――
株式会社ネクサス企画
営業推進部
田中 恒一
Mail: tanaka@nexus-kikaku.example.jp
TEL: 03-1234-5678
――――――――――
返信メール(ダミー)1
件名: Re: 【日程調整】キックオフ会議の日程候補のご連絡
ありがとうございます。
どれでも大丈夫です。
ただ、4/17のみ17時ぴったりで退出の可能性があります。
森 健太
ネオリンク株式会社
返信メール(ダミー)2
件名: Re: 【日程調整】キックオフ会議の日程候補のご連絡
田中様
お世話になっております。
恐れ入りますが、私は今週出張続きのため、
金曜の15:30以降であれば参加可能です。
火曜・木曜は難しいです。
よろしくお願いいたします。
小川 里奈
株式会社クレストワークス
返信メール(ダミー)3
件名: Re: 【日程調整】キックオフ会議の日程候補のご連絡
田中様
いつもお世話になっております。
候補日ありがとうございます。
4月14日(火) 参加可能
4月16日(木) 参加不可
4月17日(金) 15:00-16:00のみ参加可能
よろしくお願いいたします。
本田 咲
エバーグロウ株式会社
アライアンス推進室
以上のように、返信メールは人によって内容・書式とも見事なまでにバラバラです。(それを狙って作りました!)
従来だと1個ずつメールを開いて、内容を確認して、表に〇×つけて・・・と地獄のような手作業になるところですが、今回はCodexにやってもらいます!
ファイル構成
Windows PCに適当なフォルダを作り、以下のようにファイルを配置してみました。
「受信メール」フォルダ内はこのような感じ。受信メールは全部で20通あります。
Codex Appを動かしてみる
ではCodex Appを動かしてみましょう。プロンプトの内容はChatGPTに打つのとあまり変わりはありません。
プロンプト:
会議の出席確認の表を作りたい。「送信メール.txt」にこちらが送付したメールがあり候補日を提示してます。「受信メール」フォルダには参加予定者からのメールが入っています。
表の列は会社名、参加者氏名、メールアドレス、候補日日時(複数)として、候補日の列で各参加者が参加できる場合は〇、一部だけ参加できる場合は△、参加できない場合は×を記入。
表はcsvで出力したい。
使用するモデルはGPT 5.4のほか、Codex専用モデルも利用できます。
普通のChatGPTと違うのが「プランモード」の存在です。これをONにしておくといきなり処理を実行するのではなく、最初に計画を立ててくれます。
(ChatGPTでも「実行せずに計画だけ立てて」と依頼すれば似たようなことはできます)
「プランモード」にしてプロンプトを入力すると、どんな風に処理を進めるかを検討し始めます。
処理方法で不明な項目があったら、ユーザーに確認してくれます。賢い!
計画がまとまると提示してくれます。
計画内容(全文):
# 会議出席確認CSV作成プラン
## Summary
`送信メール.txt` から候補日時を3件抽出し、`受信メール` 配下の各返信メールを読み取って、`会社名`、`参加者氏名`、`メールアドレス`、各候補日時ごとの参加可否をまとめたCSVを作成します。
出力列は `会社名`,`参加者氏名`,`メールアドレス`,`4月14日(火)14:00-16:00`,`4月16日(木)10:00-12:00`,`4月17日(金)15:00-17:00` とします。
## Key Changes
- `送信メール.txt` から候補日時を固定順で抽出する。
- 各返信メールから以下を抽出する。
- 会社名
- 参加者氏名
- メールアドレス
- 各候補日時に対する参加可否
- 参加可否は次の基準で正規化する。
- `〇`: 全時間参加可能、または「ほぼ全時間参加できる」と読めるケース
- `△`: 一部時間のみ参加、開始遅れ、早退、途中参加などが明示されているケース
- `×`: 不参加、不可、難しい、終日NG など
- メールアドレスが本文にない参加者は、推測せず空欄で出力する。
- 「木曜AM」「火曜日なら大丈夫」などの表現は、送信メールの候補枠に対応づけて判定する。
- 返信内の候補外日時提案(例: 4/18可)は今回は表に含めず、元の3候補に対する判定だけをCSV化する。
## Implementation Details
- 抽出対象は `受信メール` フォルダ内の `.txt` 全件。
- 氏名・会社名は署名や本文末尾を優先して抽出し、会社名は `株式会社` / `合同会社` を含む行を優先候補にする。
- メールアドレスは正規表現で抽出し、未記載なら空欄。
- 判定ロジックは候補ごとに本文を走査し、以下を優先する。
- 明示的な `不可` / `難しい` / `NG`
- 時間付き可否 (`14:30以降`, `15:00-16:00のみ`, `10:15開始なら`, `16:30まで`)
- 曜日・日付のみの可否 (`火曜OK`, `木曜AMなら参加可`)
- 包括表現 (`どれでも大丈夫`, `全部いけそう`, `候補日はいずれも予定あり`)
- ユーザー指定に合わせ、`〇に寄せる` 方針を適用する。
- ただし「一部時間のみ」「○時まで」「○時から」「のみ参加可能」は `△`
- 「17時ぴったりで退出の可能性」「少し遅れるかもしれない」などの軽微な条件付きは `〇`
- 出力先は作業フォルダ直下のCSV 1ファイルとする。
## Test Plan
- 20件すべてについて、行数が返信メール件数と一致することを確認する。
- 列順とヘッダーが指定どおりであることを確認する。
- 代表ケースで判定を目視確認する。
- 全参加: `どれでも大丈夫`
- 一部参加: `11:00-12:00`, `16:30まで`
- 不参加: `終日NG`, `難しい`
- 曜日表現: `火曜日なら大丈夫`, `木曜AMなら参加可`
- メールアドレス未記載の行が空欄になっていることを確認する。
## Assumptions
- 候補日時は `送信メール.txt` にある3件のみを対象にする。
- CSVの候補日列は、1列に複数値を詰めるのではなく、候補日時ごとに独立した列を設ける。
- 会社名・氏名が複数候補ある場合は、署名ブロックの末尾に近いものを正とする。
- 参加可否の微妙なケースは、今回決めた「〇に寄せる」基準で統一する。
計画を一通り確認してみましたが、細かいところまでよく考えられていて、優秀な秘書のような感じです。
プランを実施するか確認してくるので、「実施」を選べば計画に従って実行してくれます。後はAIの実行状況を見守るだけです。
実行状況を見守る
今回のタスクはテキストの処理だけなので放っておいて問題ないですが、処理内容によってはユーザーに承認を求めてくるケースもあるので、いちおう見守っておきます。
CodexはAIエージェントなので、やってみてダメだったら計画を修正して実行するなど柔軟に動作しますので、細かいところまで見ておかなくても大丈夫です。
出力結果
5分弱で終了しました!
出来上がったCSVを確認しましたが、ちょっとタイトル行の列がずれてますね。惜しい!
このケースでは手作業でも簡単に直りますが、Codexにお願いしてもすぐにやってくれます。
これでOK!
いちおういくつかピックアップして結果が正しいか確認してみましたが、特に問題ありませんでした。AIの賢さに驚くばかりです。
ビジネス的な価値
今回は架空のシーンでしたが、一応ビジネス的な価値を算定してみます。
人が全部やる場合:
メール1通開いて表に転記するのに1分×20通=20分
Codexに依頼した場合:
プロンプトを考える=1-2分
Codex Appとの対話=1分
Codex Appの動作=5分 ※人の作業なし
Codex Appの出力結果確認=1-2分
人の作業時間でみるとトータル5分くらいで、人が全部やる場合に比べて1/4程度に圧縮できたことになります。今回は20通でしたが、これが100通とかになるとさらに効果が大きくなるでしょう。
なお、今回の処理ではCodexの使用量はだいたいこのぐらい。テキストの処理だけなのでかなり軽めです。たとえメール100通処理させたとしても余裕で(ChatGPT月額プランの)利用枠内に収まるはず。
(ChatGPTの有料プランを契約してない場合に)もし従量課金のAPIを叩いたとしても10-30円くらいかなと思います。
Codexと付き合うコツ
今回試してみてCodexの優秀さに驚きましたが、たぶん最初の指示が「うまくやっておいて」のようなあいまいなものだったらダメだろうなと感じました。
たとえば参加可否の微妙なケースについて、Codexは〇にするか△にするか確認してくれましたが、それは自分が「〇△×として分類すること」をOutputとして要求していたからで、その指示がなければCodexは確認すらしなかったかもしれません。
@たけむら さんのブログAI使うなら業務を「解体」できるようになりましょう、というお話。 でも触れられていますが、AIエージェントを使う場合は「AIに依頼したい業務のInputは何で、どんなOutputがほしいのか(ゴールは何か?)」を言語化してプロンプトとして渡す作業は最低限必要です。
これを怠るとAIエージェントが勝手に判断して処理してしまい、思ったような結果にならない可能性が高いです。
さらに複雑な作業では「どのステップで何を判断するのか」「どこまでAIに任せて、どこから人間が判断するのか」も指示したほうが良いですが、ある程度はAIに任せることもできると思います。











