2026年1月9日、さいたま新都心・渋沢MIXにて、CDLE埼玉主催のセミナー
「半導体×AI ― ハードウェアからクラウドまでつなぐ知と産業 ―」
を開催しました。
生成AIが社会実装のフェーズへと進む中で、その“頭脳”を支える半導体やAIインフラは、もはや一部の専門家だけの話ではありません。本イベントでは、半導体の基礎構造から、クラウド・AIインフラ、そして地域産業への展開可能性までを一気通貫で捉えることを目指しました。
会場には、エンジニア・研究者・スタートアップ・行政・金融など、産官学を横断する多様な参加者が集い、熱量の高い80分となりました。
開会にあたり司会を務めたのは遠藤さん (@えんちゃん)。マイクを使わず、地声だけで会場全体を包み込む司会進行は圧巻でした。テンポの良い語りと軽快なトークで、開始早々、会場の空気は一気に温まり、参加者の期待感も最高潮に。
技術セミナーでありながら、堅さを感じさせない導入となり、その後の講演への良い助走となりました。
第1部 講演
「半導体とは何か?──構造としくみから読み解く“AIを動かす頭脳”」
原田 善之 氏(日本電波工業/材料研究者・博士(工学))@東北よっしー
第1部では、「そもそも半導体とは何か」という問いから講演が始まりました。
トランジスタ、回路、集積といった基本構造を丁寧に紐解きながら、半導体がどのように情報を処理し、AIの計算を物理的に支えているのかが解説されました。
特に印象的だったのは、
「AIの進化は、半導体の進化そのもの」
というメッセージです。大規模言語モデルの高度化は、トランジスタの微細化や集積技術の進歩なしには成立しません。AIを“ブラックボックス”として使うのではなく、その内側で何が起きているのかを理解する重要性が強調されました。
また、鳩山や和光をはじめとする研究拠点、中小企業の技術集積など、埼玉が持つ半導体関連のポテンシャルにも言及され、参加者にとって「半導体は遠い世界の話ではない」という実感を与える講演となりました。
第2部 講演
「進化するAIインフラ──クラウドと最先端半導体が形づくるテクノロジーの構造」
山口 佳紀 氏(大手インドSIer/Solution・IT Architect)
第2部では視点を一段引き上げ、AIを実装・運用するインフラ全体の構造に焦点が当てられました。
GPUやTPUといった先端チップの動向、NVIDIAやGoogleといったプレイヤーの思想の違い、そしてクラウド上でAIを動かす際に求められる設計判断。
講演を通じて浮かび上がったのは、AIの競争軸が「モデル性能」から「インフラ設計力」へと移りつつあるという現実です。
中でも注目を集めたのが、発熱と冷却の問題でした。1000Wを超える消費電力を持つAIアクセラレータを安定的に稼働させるには、空冷から液冷への転換が不可避です。
冷却技術は裏方ではなく、AI性能やエネルギー効率を左右する戦略技術であることが、具体例とともに示されました。
パネルディスカッション
「AI×半導体は、地域と産業をどう変えるか?」
最後は、原田氏・山口氏に加え、CDLE埼玉の伊東弘人 氏 @Hiro がモデレーターを務め、パネルディスカッションを実施しました。
議論の中心となったのは、
「研究」「実装」「産業」をどうつなぎ、地域で循環させていくか
という点です。
半導体やAIインフラは巨大資本の世界に見えがちですが、設計・材料・分析・冷却・運用といった多様なレイヤーがあり、巨大ファブを持たない埼玉でも関与できる領域は少なくありません。熊本や千歳と比べたときの埼玉の「勝ち筋」、地域の中小企業がAI×半導体にどう関わるか、そしてこれから求められるAI人材・半導体人材のスキルセットとは何か。
埼玉という地域だからこそ生まれる連携の可能性と、コミュニティが果たす役割について、具体的な視点から意見が交わされました。
おわりに
本イベントを通じて共有されたのは、
AIはソフトウェアだけではなく、物理とインフラの上に成り立つ産業である
という認識でした。
半導体からクラウドまでを「構造」として捉え直すこと。
それが、これからの技術者・企業・地域にとっての重要な出発点になると感じさせる時間でした。
すべてのプログラム終了後には、野村さん (@JACKAL)さんが音頭を取って「埼玉ポーズ」を皆さんに説明した後に、登壇者・参加者が前に集まり、おなじみの「埼玉ポーズ」で記念撮影。学びと議論の熱気そのままに、笑顔あふれる雰囲気の中で、今回のイベントは締めくくられました。
※ 撮影前に外部公開について参加者の皆さまのご了解をいただいています。
次回イベントのご案内
CDLE埼玉では、次回イベントとして
「サイバーセキュリティ」をテーマとしたセミナーを開催予定です。
・テーマ:(仮)DX時代のサイバーセキュリティ ― AI活用で何が変わる? ―
・登壇者: @Yano_core.member @NAO
・日時:3月4日(水)19:00〜20:10(開始時刻は調整中)
・会場:渋沢MIX(さいたま新都心)
AI・デジタル化が進む社会において不可欠なテーマを、実務と技術の両面から掘り下げます。詳細は改めてご案内しますので、ぜひご参加ください。


