※私に何かあった訳ではありません。念のため…
💔 心の傷は時間だけでは解決できない 🚑
失恋や死別、人に裏切られたときなど、私たちは時に深い心の傷を負います。
「心の傷は時間が解決してくれる」とよく言われますが、現実問題として、そんな簡単なものではありません。
ではなぜ、心の傷は時間だけでは癒されないのでしょうか?
その問いに向き合うには、まず脳科学――とくに心理神経科学の視点から、私たちの脳内で何が起きているのかを理解する必要があります。
たとえば「失恋」という出来事。これが私たちの脳にどれほど深く影響を与えているのか?
下記の記事にて、失恋時に脳内で起きているメカニズムについて書きましたので、よろしければ、まずはこちらを読んでいただければと思います。
そして、そのメカニズムを踏まえたうえで、「AI作曲」がどのように心のケアに関わる可能性を持っているのかを、AIと共に掘り下げていきたいと思います。
💊 回復のためのAI作曲による処方 ❤️🩹
処方1:意欲と快の回復
―― 報酬‐動機回路の活性化
関係する脳の仕組み:
「報酬‐動機回路」とは、脳内で「やる気」や「喜び」に関わる神経回路のことです。とくにVTA(腹側被蓋野)や側坐核といった部位、そしてドーパミンという快感や意欲に関係する脳内物質が深く関わっています。
処方内容:
AIを使って音楽を作る体験は、自分の気持ちやイメージが音として表現される過程そのもので、夢中になれる「フロー状態」が生まれやすくなります。フロー状態とは、集中と楽しさが一体となった心の状態のことです。この状態では報酬系が活性化され、脳がポジティブな感情を感じやすくなります。
期待される効果:
「最近、何をやっても楽しくない」「やる気が出ない」と感じている状態からの回復をサポートし、感情のエネルギーを再び取り戻す効果が期待できます。
処方2:思考の整理と行動化
―― DMN→CEN へのシフト
関係する脳の仕組み:
私たちが何もしていないとき、頭の中で自然に働くのがDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)というネットワークです。これは過去の失敗や不安などを繰り返し考える「反芻(はんすう)思考」とも関係があります。一方で、実際に行動したり、計画を立てたりする時に働くのがCEN(中央実行系ネットワーク)です。
処方内容:
作詞や編曲では、「どの言葉を選び、どこを変えるか」といった判断が求められます。このような「選択と編集」の作業は、実行系ネットワーク(CEN)を活性化させます。これにより、ネガティブな思考のループ(DMNの過活動)から抜け出し、思考を前向きな行動へと変換する力が強まります。
期待される効果:
頭の中で考えがぐるぐると巡って止まらない、そんな状態が少しずつ整理され、「今、自分に何ができるか」が見えてくるようになります。結果として、自分で自分を前に進める力(自己効力感)も回復していきます。
処方3:脳のしなやかさを取り戻す
―― 神経可塑性の促進
関係する脳の仕組み:
「神経可塑性(かそせい)」とは、経験や学習によって脳の神経回路が変化する力のことです。とくに前頭前野という、思考や感情のコントロールを担う脳の前方部分がこの可塑性の影響を強く受けます。また、BDNF(脳由来神経栄養因子)という物質は、脳の成長や修復を助ける働きをします。
処方内容:
音楽を作るという行為そのものが、脳にとって新しい刺激となり、神経回路のつながりを活発にします。たとえ楽器経験がなくても、AIのサポートによって創作が可能になり、脳のしなやかさが自然と引き出されます。
期待される効果:
ストレスや疲労で硬くなっていた思考や感情が、少しずつ柔らかくほぐれていく感覚が生まれます。新しい視点で物事に向き合える力や、ストレスに対する耐性の回復も期待できます。
このように、AI作曲はただの創作体験ではなく、脳の働きを整える「こころと脳のリハビリ」として、科学的に裏づけられた回復の手段となり得ます。
📚 回復のためのプロトコル 📋
頻度の目安: 週に1〜2回、1セッションあたり60〜90分程度を目安とします。
※注意:強い自殺念慮や急性のトラウマ反応(PTSDなど)がある場合は、このプロトコル単独ではなく、必ず医療・心理の専門家のサポートと併用してください。
ステップ0:
グラウンディング(3〜5分)
セッションに入る前に、まず「今ここ」に意識を戻す時間を持ちます。トラウマによるフラッシュバックや解離(心や感覚が現実から離れること)を防ぐため、自分の身体感覚にそっと意識を向けていきます。
足裏で床を感じたり、深い呼吸をしたり、目に見えるものを1つずつ確かめたりして、自分が「安全な場所にいる」という感覚をゆっくり育てていきます。
ステップ1:
今の自分の状態を確認する(約5分)
まずは、現在の気分や不安のレベルを10段階で数値化したり、簡単な質問票でチェックします。必要であれば、事前に立てておいたセーフティプラン(危機時の対応策)を見直します。これは、自分の心の現在地を把握することから回復を始めるための準備です。
ステップ2:
エモーショナル・マッピング(約10分)
頭に浮かぶ言葉やフレーズを、思いつくまま書き出します。この時点では「きれいにまとめる」必要はありません。それぞれの言葉に、感情の強さを0〜100の数値でつけていきます。こうして感情に「名前をつけて数値化する」ことで、過剰な感情が落ち着きやすくなります。これは感情ラベリングと呼ばれる技法で、不安や動揺を和らげる効果が実証されています。
ステップ3:
AIに音の種をつくってもらう(約10分)
先ほど書き出した感情のキーワードと、希望する音楽の雰囲気(たとえば明るさ・暗さ、テンポの速さなど)をAIに入力し、短いメロディや伴奏を生成します。
気持ちを落ち着かせたいとき:
ゆったりしたテンポで、少し切なさのある「短調」の音を選ぶと効果的です。
元気を出したいとき:
少し速めで明るい「長調」の音がエネルギーを引き出してくれます。
ステップ4:
AIとの共創タイム(約20分)
AIが作った曲を聴きながら、「ここはもう少し柔らかくしたい」「サビの部分を変えてみたい」など、自分の感覚に合わせて2〜3回ほど調整していきます。こうした小さな選択の積み重ねが、「自分が関わって創っている」という感覚を生み出し、夢中になれるフロー状態を引き起こします。これが、脳の報酬系(やる気や快の回路)を持続的に刺激する力になります。
ステップ5:
声や楽器の選択(約5分)
仕上がった音に乗せる声やメイン楽器の音色を選びます。このとき、自分の声に近すぎないものや、人間の声域に近い楽器(チェロやクラリネットなど)を使うことで、自分の感情と少し距離を取ることができます。この「セルフ・ディスタンシング(自己距離化)」は、感情に巻き込まれすぎずに向き合うための大切な工夫です。
ステップ6:
マインドフル・リスニング(約10分)
ヘッドフォンで音楽を2〜3回聴きます。ポイントは「評価しないこと」。ただ音の揺らぎや、自分の身体の感覚(呼吸や鼓動など)に注意を向けながら聴きます。こうしたマインドフルな聴き方によって、副交感神経が優位になり、心身がリラックスしやすくなります。
ステップ7:
リフレクティブ・ライティング(約5分)
音楽を聴いた直後の3分以内に、「今感じたこと」を短くメモに書き出します。このプロセスが、内面の気づきを脳の中で整理する助けになります。とくに、過去や内省に関わるDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と、行動や実行力に関わるCEN(中央実行系)という2つの脳のネットワークをつなぐ「橋渡し」の役割を果たします。
ステップ8:
セルフケア・クロージング(約5〜10分)
セッションの余韻を丁寧に閉じる時間です。始めに比べて気分がどう変化したかを確認し、今の自分を「よくやった」と静かにねぎらいます。軽いストレッチをしたり、温かいお茶を飲んだりすることで、心を再び日常のリズムへと戻していきます。「今日はこんなことをしてみたい」と小さな目標を立てるのもおすすめです。
このプロトコルを6週間続けることで、臨床研究(RCT)と同等の改善効果が期待されます。
🚧 安全に進めるために 🤦🏻♀️
無理に進めない:
強いフラッシュバックが出たら即停止し、呼吸や触覚へ注意を戻す。
著作権に配慮する:
公開する際は特に注意する。
暗調ばかり続けない:
悲しみテーマを深掘りすると落ち込みが強まることがある。途中でテンポやキーを変えてバランスを取る。
聴覚疲労を防ぐ:
45 分ごとにヘッドフォンを外し、耳を休ませる。
メンタル危機への備え:
感情が激しく揺れたときに連絡できる人・専門窓口を手元に置く。
🎼 まとめ 🩺
AI が作曲のハードルをほぼゼロにまで下げたことで、感情を安全な「音」の形に外在化し、脳の報酬系と実行系を同時にリハビリする方法が手の届くところにやって来たと言えるでしょう。
以上、AIさん(主にo3)と共に考察してきましたが、いかがでしょう?
このブログはnoteの記事である「失恋の痛みをAIで考察する」の第7章とほぼ同内容になりますが、noteの方は完全に「失恋」を切り口にしているのに対し、こちらはそうでない場合も含め、あらゆるメンタルサポートに適用できるのではないか?という切り口で書いています。
生成AIの進化によって、自己表現へのハードルは確実に低くなりつつあります。そして、自己表現はメンタルサポートにとても有効と言えます。
このブログで考察したように、メンタルサポートにAIが使われて、いくようになっていく…という未来を期待したいと思います!