※ ママ友も興味持ってくれそうだったので外部公開にしました

2025/8/17     夏休みの最終日に、一般公開シンポジウム「NeuroArt 50: 脳が生む創造性 ― バイオ・AI・美学の交差点」に行ってきましたレポ

この記事はこんなことを書きました。
    1.日本神経科学学会
    2.コーディネーターと演者
    3.演者3名の研究・作品紹介
    4.おわりに


長文注意:メモを取れなかったので、なんとなくその時感じたことを徒然書いてます

1.日本神経科学学会

日本神経科学学会50周年だそうで、すごいですね。
生成AIもニューラルネットワークなど、脳の神経組織をモデル化したものが使われているけど、バイオや芸術ともつながる話ってどういうこと???
と思ったので日本科学未来館へ行ってきました。

2.コーディネーターと演者

コーディネーター:
    神谷    之康(京都大学、国際電気通信基礎技術研究所)
演者:
    石津    智大    (関西大学)
        神経美学から読み解く〈美〉の体験
    高橋    洋介    (キュレーター/先端領域ELSI研究所「分子ロボット倫理研究会」委員)
        「生/命」の裂け目:芸術と科学から考える「狂気の倫理」
    岸    裕真    (アーティスト)
        「Alien Intelligence から Botanical Intelligence へ --人間外の知性との共創」
各界の有名人。
浅学なもので、お名前しか聞いたことないし、どんな研究・作品があるのか全くしらない状態でワクワクしながら客席に。

まずは、コーディネーターの神谷先生から、日本神経科学学会のご紹介。
[学会について] 日本神経科学学会とは     の紹介によれば、

「脳・神経系に関する基礎、臨床及び応用研究を推進し、その成果を社会に還元、ひいては人類の福祉や文化の向上に貢献すべく、神経科学研究者が結集した学術団体です。本学会は会員の成果発表、情報交換及び連絡連携の場として年に一回学術集会を開催するとともに、英文学術誌 Neuroscience Researchを発行して研究成果を世界に向けて発信しています。」

とのこと。すごい。

3.演者3名の研究・作品紹介

1)関西大学の石津先生   
石津智大 教授(文学部/総合人文学科) | 先生を探す | 関大先生チャンネル によれば、

「美しさや醜さなどの美的感性は,芸術や外面だけでなく道徳や善悪の判断などにも影響をあたえる人間性の根幹のひとつであり,国際的にも注目されている研究領域です.神経美学という分野では,このようなわたしたちの芸術的な活動や感性的な評価と脳のはたらきとの関係を,脳波計やMRIなど脳の活動を頭の外側から記録できる機材を利用して研究しています.現在は,孤独問題など社会的課題の解決へ神経美学の成果を応用する研究を行っています.「美しい」とおもう感性と,他者を慮るこころの関係を解き明かし,個人の,そして社会の幸福感を高めていくことに取り組んでいます.」

とのこと。なんだかすてき。

ものの美しさ、音の美しさは違う美しさだけれど、脳の同じ部分(OFC(眼窩前頭前皮質)目の奥の前頭葉の下端)が反応する、一方、現物があるわけではない道徳的な行動などで感じる真善美でもOFCが反応するんだそうです。悲劇的な物語でも、人は、悲しさだけでなく面白さのようなものを感じており、複数の感情?複雑な思いがあるほうが反応がよく出るといったお話でした。

また、悲劇的な話を好むのは、現実の悲惨な状況に対応するための訓練だそうで、ストレス耐性をつけるためにも悲劇を見たり読んだりしてもいいのかなあと思ったり。

芸術は趣味の問題なのに研究なんかしてといわれるけれど、人は基本的には美しいものが好きで、惹かれるので例えば、商品やCMに出てくる人も美しいほうがより売れるというデータがあることなどを引き合いに、商業的にも何を美しいと感じるか、どこで感じているのかを研究する価値があるということでした。

2)キュレーターの高橋    洋介さん
2015年、金沢21世紀美術館で、初音ミクのDNAをウェブ上でつくり、IPS細胞に挿入して心筋細胞をつくる展覧会「Ghost in the Cell」を企画した方です。
Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊|金沢21世紀美術館 | 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa. 
ドイツ出身で米国在住のアーティスト、ディムート・シュトレーベさんによる、ゴッホの曾孫他や親戚のDNAとゴッホの手紙の唾液から取り出したDNAで、切り落としたゴッホの耳(おそらくこれがゴッホの耳)を再現したバイオアートを紹介いただきました。
ゴッホの左耳「バイオ」で再現 森美術館で展示

万博のIPS細胞も初音ミクのDNA版の心臓やゴッホの耳が飾ってあったらよかったのになあと思いました。(いえ、あの心臓も面白いけれど。。。)

これが芸術作品なのか?と思うような、新しいテクノロジーを用いた作品を見ると、何が芸術なのか、何が科学なのか、なんだか混乱してきました。

3)アーティストの岸    裕真さん
混乱した頭で最後に聞いたのが、
岸 裕真 (きし ゆうま) | √K Contemporary
Yuma KISHI     さん

「MaryGPT」を作った人です。工学系⇒芸術家に転身なんて面白いなあ。。。


紹介ページによれば、

「AIを「Alien Intelligence(エイリアンの知性)」と捉え直し、人間とAIによる創発的な関係「エイリアン的主体」を掲げて、自ら開発したAIと協働して絵画、彫刻、インスタレーションの制作を行う。2023年よりほぼすべての制作において、AIモデル「MaryGPT」がキュレーションを担当。」

とのこと。

この「MaryGPT」は、

小規模なGPTモデルを自身でカスタムして運用しているテキスト生成モデルで、イギリスの小説家メアリー・シェリーによる『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(1818)のテキストをもとにチューニング

したものだそうです。

MaryGPTから出てきた文章について、質問者が「メアリー・シェリーが書いたようには思えない」と質問していたけれど、あくまでもメアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』の文章で学習(チューニング)した結果として作られているので、メアリー・シェリーの人となりは含まれていないのでそうなるとのこと。なるほどなるほど。

同時期に出てきたChatGPTと違って、このMaryGPTは

非常に幻想的で支離滅裂な言動を繰り返すのが特徴

なんだそうです。

統合失調症?(今もこの名前でいっていいのかわからんけど)の話し方の「言葉のサラダ」を思い出しました。

MaryGPTの支離滅裂な言動に意味をもたらしたらどういうことなんだろうみたいに考えて作品(モチーフ?)にしているという部分が面白かったです。

意味づけするために知識と感性が必要なんだろうなあと思いました。

4.おわりに

ほかにも、脳神経のこととか、ジェノサイドやグロテスクなものを見た時の話とか、2001年宇宙の旅のスターチャイルドの話やGANでなんたらかんたらとか、結局哲学につながるとか面白い話がたくさんありましたが、ちょっと私には難しくて消化しきれなかったのでこのイベントの話はここまで。記事トップの絵はCopilotに描いてもらいました。

同時開催の作品展は
2025年8月17日(日)- 21日(木)までで終了してしまったけれど
@日本科学未来館    7階    イノベーションホール 入場無料 でやってました。
また今度あるようなら、興味あれば、行ってみてください。

今回、Xにて大隅典子先生(東北大学)が、このイベントのクラウドファンディングを紹介していたので、生まれて初めてのクラファン参加記念として行ってきました。
大隅先生に感謝♡

ここにURLは書かないけれど、クラウドファンディングは2025/8/28(木)までだそうなので応援したい方はぜひ検索してみてね。

Xの情報は    
#JNS50th_脳科学とアート

追伸:
アートには縁がありませんが、芸術と数学・科学・工学とAIそして脳の働きとのつながりはとても興味があります。
本当に盛沢山で興味深い内容で面白かったので行ってよかったです。

キーワード:日本神経科学学会、OFC、眼窩前頭前皮質、ゴッホの耳、MaryGPT、メアリー・シェリー、フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス