去る4/29(土)、第4回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2023本選を観戦してまいりました。超楽しかったです。

結果等は既にJDLAの公式サイトでもレポートされています ので、ここではG検定・E資格合格者の会であるCDLEらしく、技術観点に絞って記録を共有したいと思います。

■ 目次

DCON2023の概要
結果速報
当日までの流れ
当日の様子
各チームのプレゼン内容

■ DCON2023の概要

このコンテストは、高専生による事業創出コンテストです。高専生が「ディープラーニング x ハードウェア」で作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を競います。

主催は一般社団法人日本ディープラーニング協会、共催は日本経済新聞社、運営はDCON実行委員会で行われています。その他の関連団体情報はhttps://dcon.ai/2023/#creditをご参照ください。

■ 結果速報

優勝を飾ったのは、養殖漁業ソリューションの大島商船Smart Searcher開発LABさんでした!おめでとうございます。

最終的な順位や各省庁・企業賞につきましては、公式ページをご参照ください。
https://dcon.ai/2023/final-round-result/ 

■ 当日までの流れ

参加チームはまずエントリー(申し込み)を行います。DCON2023の募集締め切りは2022/09/30。この時点で20校全43チームがエントリーを行いました。そのうち10月の一次審査(書類審査)を通過したのは37チームです。
https://www.jdla.org/news/20221014001/

この後、37チームはプロトタイプ制作に入り、2023/1/13の締切までにプロトタイプを提出しました。その後二次審査が行われました。二次審査を務めた審査委員はこちらに表示されています。
https://dcon.ai/2023/#final-judge

この二次審査を通過した10チームが、4/29にプレゼンを実施したチームとなります。

■ 当日の様子

当日の司会進行は、「ポケモンの家あつまる?」や「ヒャダx体育のワンルーム☆ミュージック」などでおなじみのヒャダインさんと、プログラミングができる女優、池澤あやかさんのお二人。

当日は、各チームとも5分間のプレゼンを行い、その後松尾先生から技術コメント、その後ベンチャーキャピタリスト(VC)5名からの質問タイム、その結果を受けて、VCの方が「投資したいかどうか」をジャッジし〇Xで投票、一人でも〇がつけば評価額算定対象となり、最終的にその額の大きさで順位を争いました。
松尾先生の技術コメントはとてもわかりやすかったので、後ほど全チーム分内容とリンクを掲載しています。ご参考まで。また、VCの方々との質疑応答は、松尾先生の技術コメントが終わるとすぐ始まりますので、松尾先生の技術コメント視聴後少し待ってみて下さい。

また、二次審査員の方々10名は、通過した各10チームに対するメンターに就任しており、当日も応援のために会場に駆けつけています。メンターの皆様は当日、自チームのプレゼンの前後でコメントされており、それぞれとても染みるものでしたので、ご興味の方はそちらもぜひYoutubeでご覧ください。

なお、会場では各校のパネル展示も行われていました。写真を展示してよさそうでしたら、順次アップしていきたいと思います。

■ 各チームのプレゼン内容

以下、臨場感(?)を出すために、順番通りに記載しておきます。公式Youtubeアーカイブ でも、この順序で視聴できます。

1 鳥羽商船高等専門学校 Shiraishi lab
・学校紹介
鳥羽商船は明治時代の船員養成学校が母体
プロコンでも優勝する強豪校

・テーマ名・概要
深層学習を活用した温州みかん栽培支援システム「選果せんか?」
紀州地域のみかん栽培の防除(農薬散布)を画像認識によるAI防除機でピンポイント化・クロールで自動化するとともに、家庭選果の重労働をAIプレ選果で解決

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=2419s  

・松尾先生からの技術コメント

- 防除では、木を認識して噴霧する、という物体検出をしている。Bounding Boxの大きさによって距離を疑似的に推定し、近くであれば。
- 外観検査では、環境光の外乱を減らすさまざまな工夫が行われており、非常に精度が高くなっている。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=2748s

2 一関工業専門学校 suzukiLab
・学校紹介
一関高専は昨年のDCON2022優勝校、優勝のTeam MはIwai AIとして既に起業
学内で起業家人材育成塾を開くなど、かなり熱心に起業家育成に取り組んでいる

・メンター
岡田陽介さん。株式会社ABEJA 代表取締役CEO。
ABEJA はABEJA Platformを参加者に提供する「資源提供者」としても大会に貢献

・テーマ名・概要
働く現場のWB monitor
WBはWell Beingの略
働く環境のやる気・満足度・達成感の様子をWB度として見える化し、休退職を考え始めたきっかけを知る

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=3388s 

・松尾先生からの技術コメント

- 光で血管の容積を見てヘモグロビンの濃度を推定している。それがストレス等々との相関がある。
- 頭全体に16個のプローブをつけて計測したデータを教師データに用いて、利用時には首筋だけで測定できるようにした。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=3732s

3 モンゴル科学技術大学付属高専 SF Team
・学校紹介
史上初の海外からのDCON出場校
モンゴルにある高専3校のうちのひとつ

・メンター
渋谷修太さん。フラー株式会社 代表取締役社長 SForcus

・テーマ名・概要
大きな社会問題となっている開発途上国での労働災害の急増の裏にある、個人用保護具の未着用の問題を検出するソリューション

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=4487s 

・松尾先生からの技術コメント

- 軽量化したConvolutional Neural Network(CNN)をRasberry Piに搭載して実現
ヘルメット・ベスト・手袋の3クラスを認識、各精度は8割、8割、6割
- データは自分たちで作成して学習している。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=4782s

4 沖縄工業高等専門学校 UTAMARU♪
・学校紹介
国立高専で最も新しい高専で、今年20周年
今年開催された高専GCONでは沖縄高専が優勝

・メンター
佐藤聡さん。connectome.design株式会社 代表取締役社長
DCON5回目

・テーマ名・概要
Voice Ball
カラオケの機械では計測できない「上手い」を特徴量で見える化
1. 音色の旋律から歌唱スキルを見える化。二次元特徴量。商標出願中。
2. 歌声の習熟度を見える化。XAI(VAE+独自アルゴ)で抽出した二次元音響特徴。特許申請中。

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=5664s 

・松尾先生からの技術コメント

- 音のスペクトラムの分析からVariant Auto Encoder (VAE)を用いて特徴量を推定
特徴量として、従来のカラオケの一次元ではなく主要な二次元を抽出して提示
- XAIを用いて、どうしたらもっと得点が上がるのかを説明しようとしている

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=5994s

5 長岡工業高等専門学校 長岡高専プレラボ
・学校紹介
国立高専で最も歴史のある学校のひとつ
ビッグストーン、プロッセル、インテグライ等、スタートアップ起業家が多いことも特徴

(参考)
ビッグストーン https://11bigstone.com/
プロッセル https://prossell.jp/
インテグライ https://integrai.jp/home

・メンター
福野泰介さん。株式会社jig.jp 創業者・取締役会長

・テーマ名・概要
その音どーいが?音による異常検知で工場の人手不足を解決
印刷工場での糊の染み出しによる異常を、ベテラン社員がローラーの異常音を聞き分けて判断している現状をAIで解決

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=6782s 

・松尾先生からの技術コメント

- 異音検知はこれまでも取り組まれているテーマで、フーリエ変換で周波数の成分を見て異常を検知するという技術があった。ただ、今回は工夫がしてあって、特徴量を抽出して辞書的に登録してそれとのパターンマッチングをやっているので、データ数が非常に少なくて済む
- 周期性がなくても対応できる。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=7090s

6 大島商船高等専門学校 Smart Searcher 開発LAB
・学校紹介
明治時代の船員養成学校が母体
今年、新しい実習用の船「大島丸」が完成、電気で全部動く、とのこと

・メンター
岩佐琢磨さん。株式会社Shiftall 代表取締役CEO

・テーマ名・概要
Smart Searcher NEO
鯛(たい)養殖現場において、餌やり時に「小さな鯛にも餌が行きわたるようにする」というソリューション
これにより、育つ鯛の大きさのばらつきをなくし、結果としてロスをなくす
3年後には鯛以外の魚への適用も視野に入れている

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=9147s  

・松尾先生からの技術コメント

- 鯛(たい)の検出をやっており、大・小2クラスの分類をしている
- ポイントは、距離が遠くなると小さくなってしまい実際の大きさがわかりにくいところを、小さい鯛ほど白い、という色の違いに注目して、その鯛がどのくらい大きいかを色から判別、その精度が84%となっている
- ドローンを空中から水中へ、というのは技術的には可能。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=9471s

7 沼津工業高等専門学校 D4AI
・学校紹介
国立高専で最も歴史のある学校のひとつ
DCON常連の強豪

・メンター
折茂美保さん
ボストンコンサルティング グループ マネージングディレクター

・テーマ名・概要
ルックンちび
保育士の事務作業と午睡チェックを支援する総合保育システム
タブレットを触っている暇もない保育士のために、書類作成システムは音声認識
午睡チェック機能は画像認識。

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=10246s 

・松尾先生からの技術コメント

- お昼寝の姿勢は、YOROでキーポイントを認識して、右肩・左肩がどの位置にあるかでうつ伏せなのか仰向けなのかを判定している
- 書類の作成は音声認識を使用してテキスト化し、ChatGPTを用いて規定のフォーマットに直している

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=10571s

8 鳥羽商船高等専門学校 ezaki-lab
鳥羽商船の2チーム目

・メンター
伊豫愉芸子さん
株式会社RABO/Catlog 代表取締役社長

・テーマ名・概要
りぷら
プラスチックのリサイクルを正確に行うためのソリューション
スマホに独自開発のアタッチメントを接続し、反射光のヒストグラムから判別
判別処理をPP、PE、PVCに絞ることでコストダウン
宿泊施設など、事前に何のプラごみが出てくるかわからない施設にニーズがあると想定

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=11339s 

・松尾先生からの技術コメント

- PP, PE, PVC, その他という4クラス分類問題
- 既存の製品で分光器を使ったものはあるが、そうではなくスマホを使う。ポイントはスマホが近赤外線の受像ができるということ
- もうひとつは色相を加えると更に精度が上がるということで、今までにないやり方

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=11660s

9 仙台高等専門学校 広瀬キャンパス RDS LAB DCON
・学校紹介
本選初出場
もともとは無線技術者の養成を目的として設立
2009年に宮城高専と合併

・メンター
田中邦裕さん。さくらインターネット株式会社 代表取締役社長。
当日はオンライン参加

・テーマ名・概要
Road Damage Scanner
路面の劣化個所を調査するソリューション
スマホで動画保存しブラウザでアップロードすると、結果が表示される

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=12336s 

・松尾先生からの技術コメント

- 道路画像から物体検出技術を使っている。白線やひび割れ等の判別をしている。精度8割。
- CRDDCのパブリックなデータセットを使用して学習している。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=12641s
(参考) CRDDCについてはこちら
https://arxiv.org/abs/2211.11362

10 米子工業高等専門学校 農作物まもルンジャー
DCON本選初出場
最も長いつくね寿司、世界一長いきりたんぽ、世界で最も長いちくわを作り、ギネス世界記録に認定された高専

・メンター
高橋隆史さん 株式会社プレインパッド 代表取締役社長

・テーマ名・概要
Crow Chaser
農作物をカラスから守るためのソリューション
カラスは変化のない脅しだといずれ慣れてしまうので、ドローンで自動追尾し追い回す

・当日のプレゼンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=13253s 

・松尾先生からの技術コメント

- カラス認識。自分たちで1,000枚程度の画像を準備し、データ拡張している。その際に背景を入れ替えることで効率的に精度を上げ、9割程度の精度。
- ドローンはかなりスピードの速いドローンで、カラスを追尾可能。縦に変化されると少し見逃してしまうこともあるが、横の変化であればかなり追従する。

https://www.youtube.com/watch?v=xc_mTBptzNo&t=13558s