はじめに
一昨日、AIエージェントの勉強会に初めて出席させて頂きました。
https://cdle.jp/events/959d4e78b85a
好奇心の扉を開く、大変有意義な勉強会となりました。
主催してくださった皆様、本当にありがとうございました!
上記勉強会の中で、少しだけ「株式の分析ツール」を作れるという話があり、
少ない要件でとりあえず作成できるため、私もやってみました。
そもそも、相場の判断が難しい理由は、情報が足りないからではありません。
むしろ逆で、情報が多すぎること、そして視点が一つに偏りやすいことが迷いを生みます。
強気材料だけを見る日もあれば、弱気ニュースばかりが気になる日もある。
人間の判断は、その日の体調や気分にも左右されます。
そこで今回は、
判断そのものを賢くするのではなく、判断の構造を整える
という方向で、Google Opalを使った「合議型AI」を作ってみました。
複数のAIがそれぞれ異なる立場で同じ銘柄を分析し、
その意見を合議制でまとめる。
最終的な決断は人間が行うが、迷いの材料はAI側で整理しておく。
この役割分担が、本当に使える形なのかを検証したのが今回の試みです。
第1章 「当てるAI」ではなく「迷わない構造」を作る
この合議型AIで目指したのは、
売買を当てることではありません。
むしろ意識したのは、
・なぜ買いたいのか
・なぜ怖いのか
・どこが不確実なのか
を、判断前にすべて可視化することです。
そこで、AIをあえて三つの人格に分けました。
・慎重派:最悪のケースを最初に考える
・中立派:条件付きで両シナリオを並べる
・積極派:リスクを取った場合の可能性を見る
人間が一人でやると頭の中で混ざってしまう思考を、
役割として分離するのがポイントです。
これだけで、「なんとなく不安」「なんとなく強気」「流れが来ている」という曖昧さは、かなり減ったように思います。
第2章 レバETFを止めるための仕組みを先に置く
今回の設計で、特に重要なのが
レバレッジETFに対する警告レイヤーです。
レバETFは、
ボラティリティが高く、日次リバランスによる構造的減価があるため、向き・不向きがはっきりしています。
にもかかわらず、「値動きが大きいから」という理由だけで触られがちです。
そこで合議に入る前に、
・レバETFかどうか
・注意レベルはどの程度か
・今回の売買スタイルと相性が良いか
を、感情抜きでAIに判定させる工程を入れました。
これは、
「買う理由を探す前に、立ち止まる理由を提示する」
ための仕組みです。
合議型AIは、背中を押す装置ではありません。
止まる判断を正当化する装置でもあります。
第3章 合議の結果を「数」で見せるという工夫
三つのAIに判断させると、当然ではありますが必ずしも意見は一致しません。
そこで導入したのが、
判断一致度スコアです。
買い:+1
売り:-1
見送り:0
という単純なルールで集計し、
・強い一致
・やや一致
・分裂
を明示します。
これにより、
「全員が買いと言っている状況」
「意見が割れている状況」
を、直感ではなく構造として把握できます。
一致度が低いときは、「何もしないこと」が案外強い選択だったりするものです。
この判断を、後悔なく選べるようにするのが合議型AIの役割です。
第4章 最終判断はあえて人間に残す
このシステムでは、AIに最終決定権を渡していません。
最後に必ず、
・これは合議型AIの分析結果であること
・最終判断は人間が行うこと
・見送る選択も合理的であること
を明示します。
AIが出した結論に従うかどうかではなく、
どう判断したかを自分で説明できる状態を作る。
これができていれば、
仮に結果が外れても、判断は破綻していません。
合議型AIは、
判断の責任を奪う道具ではなく、
判断を引き受けやすくする道具であると改めて感じます。
おわりに
合議型AIは「判断を急がなくていい環境」を作るためのものです。
相場で一番の敵は、情報不足でも、技術不足でもなく、
焦って決めてしまうことです。
今回作った合議型AIは、売買を自動化するものではありません。
見るべき論点を揃え、危険な銘柄では立ち止まらせ、意見の一致度を可視化して
最終判断を人間に返すための「判断補助の構造」です。
AIを使うことで賢くなると錯覚するのではなく、賢く判断できる余地を残す。
Google Opalのようなツールは、
こうした設計思想を形にするには、とても相性が良いと感じました。
ただし、UI周りはかなりきつく言っておかないと、2回前の指示をどんどん忘れていくので、なかなか悪戦苦闘しました。
Opalでスモールスタート→意見を集約し、ローカルでサービス実装という流れがきれいなように思います。
興味がある方は、ぜひ自分なりのAIを組んでみると、本当は自分が何が欲しいのかがわかると思います。
付録:実際の画面
・検索条件を入れてAIが思考中
(Thinking...はかたくなに英語のままでした。)
・出力結果
1. 市場区分
スタンダード市場
2. 検索条件
株主優待あり
3. 投資スタイル
長期投資
4. 市場調査サマリー
東京証券取引所スタンダード市場は、2022年4月の市場再編により新設された市場であり、中堅企業を主な対象としています。一定の時価総額、流動性、基本的なガバナンス基準を満たす企業が上場しており、持続的な成長および中長期的な企業価値向上を目的としています。個人投資家が主要な投資家層であることから、企業は株主との関係強化や安定した株主構成の構築を目的として、株主優待制度を積極的に活用する傾向があります。
近年、スタンダード市場では「長期保有優遇型株主優待」がトレンドとなっており、継続保有期間に応じて優待内容が充実する制度が増加しています。これは、株主に中長期保有を促し、企業価値向上へのコミットメントを共有する狙いがあります。株主優待は、新規投資家が投資を始めるきっかけとなるだけでなく、長期保有を継続する理由としても機能しています。
TOPIXスタンダード市場指数は、2025年を通じて堅調な推移を示しており、2025年10月31日時点での1年リターンは 17.01% を記録しています。直近では小幅な調整局面も見られますが、全体としては上昇トレンドを維持しています。
スタンダード市場に上場する代表的な銘柄としては、
日創(1444)、オラクル日本(4716)、日本マクドナルドホールディングス(2702)、アコム(8572)、東映アニメーション(4816)、ワークマン(7564)
などが挙げられます。
このうち、日本マクドナルドホールディングスは株主優待取得に1年以上の継続保有を必要とする制度変更を発表しており、日創および東映アニメーションは株主優待内容を拡充しています。一方、オラクル日本、アコム、ワークマンは現在株主優待制度を実施していません(オラクル日本およびワークマンは配当を実施)。
長期投資銘柄を選定する際には、優待内容の改悪・廃止リスクを避けるために業績の安定性を確認するとともに、継続保有条件を事前に把握することが重要です。
5. AI分析
5.1 慎重派AI分析:東映アニメーション(4816)
推奨行動:買い
理由
東映アニメーション(4816)は、スタンダード市場に上場する企業の中でも、長期投資および株主優待を重視する慎重派投資家にとって魅力的な銘柄です。アニメ制作分野における強力なブランド力と収益基盤を有し、持続的な企業価値向上を目指しています。
2024年4月に実施された株式分割(1株→5株)により、株主優待(オリジナルキャラクターQUOカード)が実質的に拡充され、最低投資金額が引き下げられたことで、個人投資家にとって優待を享受しやすくなりました。これは、市場再編後のスタンダード市場で広がる「長期保有優遇型株主優待」の流れに合致しており、安定した株主構成を志向する同社の姿勢を示しています。
また、純利益率・営業利益率の改善、ROE・ROAの良好な水準から、安定的な収益成長が期待されます。足元の株価は年初来安値から反発していますが、年間を通じて価格変動が見られるため、慎重なエントリーが望まれます。長期的には、コンテンツ競争力および株主還元施策の魅力が安定的なリターンにつながると考えられます。
価格目標
エントリー:¥2,650
利確:¥3,200
損切り:¥2,400
5.2 中立派AI分析:日創(1444)
銘柄コード:1444
銘柄名:日創
現在株価:¥2,897(2025年12月18日 10:25時点)
推奨:買い
理由
スタンダード市場における長期投資戦略の中で、日創(1444)は、最近発表された株主優待制度の拡充により、非常に魅力的な投資対象となっています。具体的には、長期保有株主向け優遇(保有期間に応じたQUOカード、プレミアム優待倶楽部ポイントの拡充)および、優待取得に必要な最低保有株数が300株から100株へ引き下げられた点が挙げられます。
これらは、株主還元への強い姿勢と、中長期的な企業価値向上への高いコミットメントを明確に示すものです。安定的なインカムゲインと、企業成長に伴うキャピタルゲインの双方が期待でき、長期投資に適した銘柄と評価されます。
価格目標
エントリー:¥2,850〜¥2,900
利確:¥3,300〜¥3,500
損切り:¥2,400〜¥2,500
5.3 積極派AI分析:スタンダード市場における積極的長期投資戦略
積極派AIの視点から、スタンダード市場での長期投資戦略に基づき、以下の銘柄選定および具体的な売買提案を行います。スタンダード市場には、持続的成長および中長期的な企業価値向上を志向する企業が多く、特に株主還元に積極的な企業は、長期的な資産形成において魅力的な投資機会を提供します。2025年を通じた市場全体のトレンドは堅調であり、魅力的な個別銘柄の押し目は積極的に狙うべきと判断されます。
個別銘柄提案
東映アニメーション(4816)
推奨:積極的「買い」
現在株価(2025年12月18日 終値):¥2,734
理由(積極派・長期)
株式分割による株主還元の実質拡充、堅調な業績と成長ポテンシャル(アニメコンテンツの世界的需要拡大)が評価ポイントです。現在の株価水準は、長期視点での積極的エントリーポイントと考えられます。高いボラティリティは、好条件でのポジション構築機会を提供します。
エントリー:¥2,500〜¥2,700
利確:¥3,500〜¥4,000
損切り:¥2,300
日創(1444)
推奨:積極的「買い」
現在株価(2025年12月18日 終値):¥2,897
理由(積極派・長期)
100株保有でのQUOカード付与、300株以上でのプレミアム優待倶楽部ポイント付与など、最近の株主優待拡充は明確なポジティブサプライズです。長期保有優遇の導入は、時間を味方につける投資戦略と相性が良く、市場での再評価余地があります。
エントリー:¥2,800〜¥2,900
利確:¥3,200〜¥3,500
損切り:¥2,650
オラクル日本(4716)
推奨:積極的「買い」
現在株価(2025年12月19日 11:04時点):¥13,785
理由(積極派・長期)
クラウドおよびAI分野への継続的投資により、高成長かつ安定した収益基盤を維持しており、14期連続最高益更新を目標としています。年初来安値付近にある現在の株価は、長期成長を見込んだ積極的エントリー機会と判断されます。低ボラティリティで、長期保有戦略に適しています。
エントリー:¥13,000〜¥13,800
利確:¥16,000〜¥18,000
損切り:¥12,500
6. 合意スコア(Consensus Score)
合意スコア:4(5段階中)
評価内訳
推奨銘柄の一致度:中程度
慎重派AIは「東映アニメーション」、中立派AIは「日創」、積極派AIは「東映アニメーション」「日創」「オラクル日本」を推奨しており、完全一致ではありません。ただし、「東映アニメーション」と「日創」については、2名のAIが共通して推奨しており、方向性(すべて「買い」)は完全に一致しています。
価格目標の一致度:高い
東映アニメーション(4816)
エントリー:慎重派 ¥2,650 / 積極派 ¥2,500〜¥2,700
利確:慎重派 ¥3,200 / 積極派 ¥3,500〜¥4,000
損切り:慎重派 ¥2,400 / 積極派 ¥2,300
日創(1444)
エントリー:中立派 ¥2,850〜¥2,900 / 積極派 ¥2,800〜¥2,900
利確:中立派 ¥3,300〜¥3,500 / 積極派 ¥3,200〜¥3,500
損切り:中立派 ¥2,400〜¥2,500 / 積極派 ¥2,650
いずれも水準は非常に近く、大きな乖離は見られません。
総合評価
推奨銘柄には一定の分散があるものの、共通して推奨されている銘柄については方向性および価格目標の一致度が非常に高いことから、合意スコアは「4」と評価されます。
7. 最終統合判断
最終推奨および判断の強さ
最終推奨:買い
判断の強さ:強(5段階中4)
理由
各AIは異なる銘柄を主軸に推奨しているものの、「東映アニメーション(4816)」および「日創(1444)」については、推奨方向が完全に一致し、エントリー・利確・損切りといった価格目標においても高い一致度が見られます。両社とも株主還元策の明確な拡充を発表しており、スタンダード市場で長期保有を重視する個人投資家にとって魅力的な投資機会を提供しています。
また、「オラクル日本(4716)」は積極派AIのみの推奨ではあるものの、クラウド・AI分野での持続的成長および安定した収益基盤が評価されています。市場全体が堅調な環境下において、これら企業の成長性、株主還元姿勢、現在の株価水準は、中長期的な資産形成に寄与すると判断されます。
推奨エントリー/利確/損切り水準(統合)
東映アニメーション(4816)
現在株価:¥2,734
推奨:買い
エントリー:¥2,600〜¥2,700
利確:¥3,200〜¥3,700
損切り:¥2,350〜¥2,450
日創(1444)
現在株価:¥2,897
推奨:買い
エントリー:¥2,850〜¥2,900
利確:¥3,250〜¥3,500
損切り:¥2,500〜¥2,600
オラクル日本(4716)
現在株価:¥13,785
推奨:買い
エントリー:¥13,000〜¥13,800
利確:¥16,000〜¥18,000
損切り:¥12,500
残る不確実性
推奨銘柄の多様性:全AIが同一銘柄を推奨しているわけではなく、ポートフォリオ全体としての合意度は中程度です。
市場全体の変動リスク:急激な経済環境の変化や予期せぬ外部要因により、株価が影響を受ける可能性があります。
個別企業リスク:業績動向、株主還元策の変更・廃止、競争環境の変化など、各社固有のリスクは常に存在します。特に東映アニメーションは株価変動が大きいため、継続的なモニタリングが必要です。
免責事項
この分析は、AIによる情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の購入または売却を勧誘するものではありません。提示された情報は信頼できると考えられる情報源に基づいていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、利用者自身の責任と裁量において行われるべきであり、本分析に基づいて生じたいかなる損害についても、Consensus AIは一切の責任を負いません。
ファクトチェック
・ニッソウの市場区分:Standard → Growth(+名証Next)に要修正
・OPIX Standard “17.01%”は断言を避けるべき
・株価(時刻つき)は当時の参照値として扱い、断定しない
・マクドナルド優待の「1年以上」条件は公式IRリンク付きでOK
・東映アニメの分割・優待制度変更はIR一次資料でOK
・ニッソウ優待拡充は開示PDFでOK
免責事項
この分析は、AIによる情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の購入または売却を勧誘するものではありません。提示された情報は信頼できると考えられる情報源に基づいていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、利用者自身の責任と裁量において行われるべきであり、本分析に基づいて生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。
リンク
「合議型株式購入検討システム」



