現在、世界の各国(各地域)におけるAI規制の許容範囲は全く異なります。
EUは特に積極的に法規制を敷き、下記の通りAI規制で次の項目を禁止しています。

ソーシャルスコアリング(補助金申請のAI審査、信用格付け、など)
◇人の認知行動(ものの見方や考え方)の操作
◇職場や教育機関での感情認識
◇機微な特徴を利用した生体認証(政治的志向・思想・人種・民族・宗教・性別など)

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一方で、中国は2014年からAIによる人のソーシャルスコアリング(信用格付け)けについて、広く普及している国家レベルで管理を目指しています。(詳細は下記リンク先)

最近中国に行ったことのある方や、家族や親友レベルの中国人がいる方は、どれだけ中国が全土でAIを活用しているか、中国人が音声や文章での「自分や会話相手がwebへ発する情報」に注意を張りめぐらせているかご存じだと思います。


また、民間レベルではアリババの信用格付けで有名な芝麻(ジーマ=ごま)信用も広く普及しています。胡麻のスコアが上がると人生がひらいていく、正におとぎばなしのアリババの「開けゴマ!」の世界が中国で実現しています。

たとえば「買い物履歴や、アリババが手がける金融ローンの支払い状況」などをAIが分析して、「点数が高いと、病院の予約が優先され、低い金利でローンが組める」といった状況になっています。
image.png 447.23 KBかっこ内の文章と図の引用元:




また、日本、アメリカ、イギリスは国家レベルでも法規制はそれほど厳しくせず、企業の自主規制に任せて、技術・産業を育成する方向にあります。

日本では、EUでは禁止されている感情認識だけでも、企業が声によるものや、表情によるものなど、様々な場面で活用しています。(詳細は下記リンク先)


さてこのように、各国はAI規制に対して全く異なる国家戦略を取っています。一方でどちらかというと開放的な英国が、かなり管理的な中国を2023年11月に「AIセーフティサミット」に招待するなど、日頃@Hiromu (Kit) Kitamura さんが発信していらっしゃる通り、世界中でメインとなるAIガバナンスに向けたイニシアチブを取る動きも加速しています。

また、AIガバナンスについてはアメリカでの人材需要も、データを活用するデータサイエンティストより、上記のような動きに絡むデータの管理や倫理を重視するデータアドボケートの方が格段に高く、年収の中央値は10万ドル(約1,500万円)となっています。

リーガルを背景に持つ方がデータアドボケートになる傾向にあり、今後も国際、および各国内での動きが注目されます。